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木下隆之「クルマ激辛定食」

キャデラックの「ナイトビジョン」が驚愕の高性能!米軍の軍事技術を転用、暗闇でも鮮明な画像

文=木下隆之/レーシングドライバー
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キャデラック「CT6」

 キャデラック「CT6」に採用されている「ナイトビジョン」が秀逸である。深夜の暗闇でも、建物や停車中のクルマなど市街地の形状を認知する。人の姿もはっきりと浮かび上がる。この暗視装置が、クルマの安全性を飛躍的に高めているのだ。

 すべての物質からは赤外線が放出されている。キャデラックは、その赤外線をフロントグリルに埋め込まれたカメラで感知、画像処理したのちにバーチャルイメージとしてメーター内に映し出すのだ。これにより、へッドライトが障害物を照射する前に、ドライバーは対象物の存在を知ることができる。事前に身構え、余裕を持った回避行動が可能だ。

 映像はモノクロに近く、色彩的な識別は曖昧だ。だが、形状は驚くほど鮮明に浮かび上がる。およその形も理解できる。歩道に立つ人と、人型の看板の違いも認知可能だ。大人と子供の区別すら識別できるという精度である。もっと鮮明で、女性か男性かの性別も判断できるし、手にしたバッグの形状すらも認識できる。

 感知した対象物は、画面上に黄色い枠で表示される。モニターを凝視しなくとも認識できるのもメリットだ。

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 ロービームでは認知できない暗がりの人までも素早く見つけてしまう。ハイビームよりも認知が早い。というよりも、ライトが照らさない暗がりの黒い衣服の人すらも発見してしまうのだ。仮にモニターだけでの夜間走行が許されるとしたら、それも可能のような気がした。高精度のバーチャルゲームの世界なのである。

 どこかで見たことがあると思い記憶を辿ってみたら、湾岸戦争で米兵が深夜の戦闘で使用していたナイトスコープの映像と酷似していることに気がついた。イラク戦争の夜襲で米軍は圧倒的な支配力で敵を制した。その際の最大の武器になったのがナイトスコープであると、かつて報道されていた。相手が見えている兵士と、見えていないゲリラ側の優劣は火を見るより明らか。キャデラックのそれは、米軍の軍事技術の応用なのである。

 キャデラックが採用するのは、アメリカのレイセオン・システムズ社の赤外線技術。物体が放出する遠赤外線を画像処理する技術であり、ゼネラルモーターズ(GM)と共同で開発を進めていた軍事技術の転用だ。

 実際にナイトビジョンが世界で初めて採用されたのは2000年。キャデラックCT6の前身であるキャデラック「ドヴィル」に採用されたものの、軍事技術の流失を心配するアメリカと、流入を不安に感じた日本側で混乱があった。日本での認可を得るまでに時間を要した。それほど重要な機密なのである。

 あまりの高性能ゆえに、停車中のライトオフ時にはモニターがシャットダウンし、ドライバー以外の横からの目線では認識できないように、盗撮や覗きなどの悪用防止措置が施されている。つまり、それほど鮮明だともいえなくもない。

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 昨今、ヘッドライトの性能は飛躍的に高くなった。ハイビームでの走行も推奨されている。アダプティブハイビームは、対向車の幻惑を避けるために、そこだけを切り取るように遮光して暗闇に光を当てる。それによって視認性は高まった。

 だが、それらはあくまで、光を当てることで対象物を認識する技術である。キャデラック「CT6」のナイトビジョンは、光の届かないところすら対象物を浮き立たせてしまうのだ。軍事技術は一方で殺戮の技術であるが、平和への転用ならば歓迎したい。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

●木下隆之
プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

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