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江川紹子の「事件ウオッチ」第151回

抗議の声相次ぐ「検察庁法改正案」…問題だらけ、不要不急の定年延長は即刻撤回すべき

文=江川紹子/ジャーナリスト
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「不急」の法案、やり方も姑息

 今回の法案が成立すれば、トランプ政権のようにあからさまな形ではなくても、政権が人事を通じて、検察に影響力を行使することが可能になる。特に長期政権の場合は、その影響力は大きい。検察の中立性や独立性が損なわれる懸念は、非常に深刻といわざるを得ない。

 しかも、通常の国家公務員の定年延長の法案に、異論の大きい検察官の定年延長を汲み込んだ法案にして、法務委員会での審議や法務大臣への質問の機会も奪って、一気に通してしまおうというやり方も姑息だ。

 このような問題があるうえ、現在は、新型コロナウイルスを巡る問題で、さまざまな経済対策や人々の生活を支える施策を、最優先で与野党挙げてやっていかなければならない時期だ。

 そんな時期に、ごり押しをしなければならないほど、検察官の定年延長は国民にとって急ぎの用件ではない。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、ということで、国民は「不要不急」の外出を控えるよう、おカミから繰り返し要請がなされている。1人ひとりにとっては「重要」な事柄でも、「火急」の用でなければ、「不要不急」の範疇に組み入れられ、がまんさせられてきた。

 なのになぜ、政府はこのような「不急」の法案をしゃにむに通そうとするのか。この政権は、モノゴトの優先順位をまったく間違っているとしかいいようがない。

 政府は、法案を一度引っ込め、検察官の定年延長については、政権の恣意的判断が入らないような形にして、法務委員会に出し直し、法務大臣も出席して、きちんと議論すべきだ。

●江川紹子(えがわ・しょうこ)
東京都出身。神奈川新聞社会部記者を経て、フリーランスに。著書に『魂の虜囚 オウム事件はなぜ起きたか』『人を助ける仕事』『勇気ってなんだろう』ほか。『「歴史認識」とは何か – 対立の構図を超えて』(著者・大沼保昭)では聞き手を務めている。クラシック音楽への造詣も深い。

江川紹子ジャーナル www.egawashoko.com、twitter:amneris84、Facebook:shokoeg

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