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個人経営のパチンコ店は苦境に
以上のような環境変化による来店客数の減少により、経営が厳しくなっていたところに新型コロナウイルスという“災厄”が襲い掛かった。特に、チェーン店展開をする大型パチンコ店にくらべ、個人経営のような小型のパチンコ店では、新型コロナウイルスによる休業要請以前から、非常に経営が厳しい状況で多くの小型店が淘汰されてきている。
前述した遊技台の射幸性規制により、旧規制の遊技台は2021年1月末には撤去しなければならない。旧規制の遊技台は、現時点でパチンコ店にとっては“客を呼べる”もので“稼ぎ頭”でもあった。
新規制の遊技台を導入するためには、多額の設備投資が必要となるわけで、パチンコ店としても旧規制の遊技台があるうちに、なるべく売上を多く獲得したいわけだが、その肝心な時期に新型コロナウイルスによる休業要請が行われるという“最悪の事態”となってしまった。
全国には9000店のパチンコ店があるが、3年程度で2000店程度が廃業に追い込まれるとの予測もある。「生き残れるのは大型パチンコ店チェーン。個人経営のパチンコ店は姿を消すことになるだろう」(埼玉県のパチンコチェーン店店長)と予想する。
都内のパチンコ店経営者は、「休業要請に応じなければ、パチンコ店のイメージが悪化し、社会的な批判を受ける。半面、休業すれば業績は一段と悪化する。まさに、“前門の虎後門の狼”の状態だ」と頭を抱える。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)