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木村隆志「現代放送のミカタ」

逆境続きでも視聴率好調の朝ドラ『エール』に忍び寄る3つの不安とは?

文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト
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NHK連続テレビ小説『エール』」より

 新型コロナウイルスの影響で大半の春ドラマが延期に追い込まれる中、ここまで順調に放送されてきた朝ドラエール』(NHK)。世帯視聴率は20%前後で推移し、4月末から何度も21%台を記録するなど、前作『スカーレット』を上回る結果を残している。

 まずは紀元前1万年の原始人が登場したオープニングで驚かせた後、第1・2週は子役たち、第3~6週は窪田正孝と二階堂ふみ、さらに唐沢寿明や薬師丸ひろ子らベテランが奮闘。古山裕一(窪田正孝)と関内音(二階堂ふみ)が出会うまで2人の物語を交互に見せる大胆な構成もハマり、「音が亡き父を思って舞台で歌う」「音楽をあきらめた裕一が最後の演奏会に挑む」などの涙を誘うシーンが功を奏したのではないか。

 今後も実力と人気を併せ持つ窪田と二階堂を軸にした作品である以上、それなりに楽しませてくれるだろう。しかし、「すべてが順風満帆か」と言えば、そうとも言えない事情が浮かび上がってくる。

“夫婦の物語”へのこだわりが危険

『エール』の主人公は裕一だが、実のところ妻・音も同等の扱いに近い夫婦の物語であり、その点は2014~15年に放送された『マッサン』と似た図式。ただ、夫はより気が弱く、妻はよりたくましく描かれているため、“かかあ天下”、あるいは“内助の功”という印象が強い。

 実際、音は家の事情から音楽と結婚をあきらめた裕一のためにレコード会社を駆けずり回り、福島まで会いに行って裕一と母・まさ(菊池桃子)を説得するシーンは、その印象を決定づけていた。これからも、「妻がガンガン動いて夫を成功に導いていく」というシーンが何度も見られるだろう。

 そんな夫婦の物語であると同時に、『エール』の大テーマは音楽。裕一が名曲を手がけるだけでなく、実在の人物をモチーフにした音楽家たちが次々に登場して音楽シーンが描かれていく。つまり、ノンフィクションとしてのテイストが濃く、作品の根幹をなす部分なのだが、「夫婦の物語を盛り上げるために、音楽シーンの描き方が歪んでしまうのではないか」という懸念があるのだ。

 これは近年、失敗が許されないムードが強くなっている朝ドラと大河ドラマに見られがちな傾向であり、そのたびに「ここで妻が出てくる展開は強引すぎる」「都合よく史実をねじ曲げすぎ」などの批判が挙がっている。第1話のラストシーンが「東京オリンピック開会式のスタジアムに2人が歩いていく」という夫婦の絆を象徴する演出だっただけに、「それにこだわりすぎないか」という不安が募る。

 ただでさえ『エール』は脚本家の交代というアクシデントが発生し、「不安があるとしたらストーリー」と言われていた。夫婦の美談にこだわりすぎると視聴者が離れかねないし、「裕一らの手がける音楽の素晴らしさをどれだけ伝えられるか」が鍵を握っている。

志村さんの不在と、まさかの3週間

 そして、やはりと言うべきか、気がかりなのは、志村けんさんの不在。ここまで志村さんは二度のみの登場で、しかも1分程度だったにもかかわらず、大物作曲家役としての強烈な存在感を放っている。特に、5月7日の放送では「レコード会社に裕一との契約を進言し、音楽家の道を切り拓く」という救世主だった。

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