ビジネスパーソン向け人気連載|ビジネスジャーナル/Business Journal
さらに、今後も「裕一に良くも悪くもさまざまな影響を与える」という役柄が予定されているが、亡くなってしまい、代役も立てない以上、書き換えられた脚本では登場人物のセリフやナレーションの中でしか存在できない。「救世主と思わせておいて最強の悪役だった」「救世主からライバルとなり、バトルに」などの展開が予想されていただけに、返す返すも残念でならない。今後、窪田正孝と志村けんさん、古山裕一と小山田耕三が対峙するシーンがないことを嘆く声がネット上に飛び交うだろう。
さらに不穏なムードを感じさせるのは、新型コロナウイルスの影響で撮影が中断されていること。「まだ6月2~3週目以降の放送分が完成していない」という話もあり、緊急事態宣言が延長され、先の見通しが立っていないことが作品に暗い影を落としている。「放送中断」という厳しい状況に陥る可能性も、決して低くないのだ。
これはネタバレになるので知りたくない人は避けてほしいのだが、さらなる不安を感じさせるのは、3週間にわたる“ほぼスピンオフ”の放送。事実、NHK出版が発行している公式ガイドには、6月15日放送の第12週から3週間にわたって、“ほぼスピンオフ”と言えるストーリーが書かれている。
つまり、放送中断の可能性がある上に、放送できたとしても、せっかく盛り上がってきた頃にメインテーマとはほとんど関係のない物語が3週間も放送されるのだから、視聴者の心が離れてしまわないか心配なのだ。
これまで、脚本家の降板騒動、撮影中断、志村さんの急死、物語とリンクする東京オリンピックや高校野球の延期・中止など逆境続きの中で好スタートを切ったのだから、ポテンシャルの高い作品なのだろう。裏を返せば、そんな逆境に立ち向かう様子を見た視聴者もエールを送りたくなる作品なのかもしれない。
ここで挙げた「夫婦の物語へのこだわり」「志村さん不在の影響」「3週間のほぼスピンオフ」という3つの不安要素が杞憂に終わることを願っている。
(文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト)
●木村隆志(きむら・たかし)
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月20~25本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』(フジテレビ系)、『TBSレビュー』(TBS系)などに出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。
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