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今頃「PCR検査拡大」を言い出した安倍政権は、なぜ早期対策を怠ったのか?

文=藤野光太郎/ジャーナリスト

 同文書の冒頭案内文には、次のように書かれている。

「……発熱や上気道症状を有する等、新型コロナウイルス感染症が疑われる患者が来院した際の留意点について、下記のとおり取りまとめたため、帰国者・接触者外来のみならず、一般の医療機関(歯科医療機関も含む。)においても、内容について十分にご了知いただきたいため、関係者への周知をお願いする」

 興味深いのは、同文書の「項目3」に書かれた「応招義務について」の文面だ。そこには、こういう“アドバイス”がある。

「……患者が発熱や上気道症状を有しているということのみを理由に、当該患者の診療を拒否することは、応招義務を定めた医師法(昭和23 年法律第201 号)第19 条第1項及び歯科医師法(昭和23 年法律第202 号)第19 条第1項における診療を拒否する『正当な事由』に該当しないため、診療が困難である場合は、少なくとも帰国者・接触者外来や新型コロナウイルス感染症患者を診療可能な医療機関への受診を適切に勧奨すること」

 文中の「応招義務」とは、診療行為を求められた医師が、正当な理由もなく診療を拒んではならないとした医師法上の義務のこと。「勧奨」とは、辞書によれば「勧めて、励ますこと」だ。

 つまり、この文面が医師・医療機関や関係各方面に「周知」を促した事柄は、平たく言えば、「新型コロナウイルスの感染者と疑われる診療希望者を医師法19条の応招義務に違反しないよう合法的に拒むためには、診療可能とされる医療機関への受診を上手に勧めればよい」というものである。

 一見、医の倫理に反して医師に法令をすり抜けさせようとする文言にも読めるが、はたしてそれは何を目的としたものか。

指定感染症で「入院隔離」と決めていたにも関わらず「診療回避」

 一方、これに先立つ昨年12月25日、厚労省医政局長が各都道府県知事に送付した文書にはこう書かれている。

「……特定の感染症へのり患(筆者注「への罹患」)等合理性の認められない理由のみに基づき診療しないことは正当化されない」「ただし、1類・2類感染症等、制度上、特定の医療機関で対応すべきとされている感染症にり患している又はその疑いのある患者等についてはこの限りではない」

 官報を確認すると、新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める政令が施行されたのは今年1月28日。仮にPCR検査で「陽性」の確定診断が出た場合、患者は指定感染症の罹患者として、無症状・軽症を問わず「感染症法」に基づく入院措置となることが、その時点では決まっていた。

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