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西山美紀「貯蓄スキルの高め方」

株式相場が下がった今は本当にチャンス?投資初心者が陥りがちな罠&NISAの注意点

文=西山美紀/マネーコラムニスト
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「gettyimages」より

 ネット証券の口座申し込みが増えていると聞きます。実際、コロナショックで相場が大きく下がった頃から、いろいろな人から「今が投資のチャンスでは?」「そろそろ投資を始めてみようと思うのだけど……」という声をたくさん聞きました。

 とはいえ、投資に初チャレンジする人がよく陥りがちなワナがあるので要注意です。勢いで投資を始める前に、まずはそんなワナをしっかり確認しておいてください。

相場の「底」は後からわかる

 株式相場が大きく上下しています。日経平均株価を見ると、今年1月は2万4000円台でしたが、3月には1万6000円台まで下がり、5月上中旬は2万円を前後しています。「2万4000円台の頃を考えれば、今は低いほうなのでは……」「実は、これから先を考えると“底”かもしれない」と感じるかもしれません。

 ところが、本当の「底」は過ぎてからでないとわかりません。後になって「あのピークで売ればよかった」「あそこが底だから買えばよかった」ということはいくらでもわかるのですが、コロナショックを事前に予想していた人がほぼいないのと同様に、未来のことは誰にもわかりません。

 もし「ここが底だ」ということがわかれば、株の購入が殺到して相場が上がり、瞬時に「底」ではなくなってしまうでしょう。

 そのため、投資初心者の方が「今が底だ!」と思って大きなお金を投資するのはやめましょう。この後、さらに「底」がやってきて、「買うのはあのときではなくて、今だった」と思っても後の祭りなのです。

 ですので、「どうやら今、下がっているらしい」という雰囲気だけで手元の大事なお金を投資につぎ込むのは危険です。もし今後、さらに相場が下がってしまったら売るに売れず、手元には現金がなくなるという非常に困った状況になってしまいます。

生活に必要な資金はとっておく

 投資をするとしても、余裕資金で行うことが大切です。余裕資金については、「もしそのお金がなくなったとしても、それ以外のお金で暮らしていけるか、今後欲しいものが買えるか」で考えてみましょう。人によって、1000円、1万円、10万円……と異なるはずです。

 また、イメージで株を買うのも危険です。「今なら医療系のあの会社が伸びそうだ」という印象で株を買ってみても、すでにその情報が知れわたって、高値になっているケースもあるからです。

 筆者も、過去に投資を始めた頃に、何度かそういう失敗をしました。とはいえ、自分のお金で失敗したからこそ、学びになったことも事実です。失敗をしても大丈夫だと思える金額で、勉強代として投資するのもいいかもしれません。

月100円からの積み立て投資も可能

 失敗をするとしても、大きな失敗をすることは避けたいもの。余裕資金がたくさんある人でも、最初は小さな金額から始めることをおすすめします。ひとつの企業の株に投資するほかに、さまざまな企業の株をまとめて買うような商品である“投資信託”という選択肢もあります。

 投資信託なら、ネット証券の一部で月100円という小さな金額から積み立てで買えます。つみたてNISAのラインナップに入っている投資信託なら手数料も低めなので、選択肢のひとつとして参考にしてみてください。

 積み立てにすれば、一度申し込めばあとは自動的に買い付けていってもらえます。「今は低いかな」とずっと相場をチェックしたり、「せっかく下がっているのに買うのを忘れていた」とタイミングを外してショックを受けたり、ということも減らせます。

 忙しい現代。日々投資に振り回されてしまうと、自分の本業の仕事に悪影響を及ぼすでしょう。在宅勤務が増えている今、仕事をしながら、ちらっと相場を見ることもできる環境なので、仕事そっちのけで相場ばかり見ていて、仕事の成果が落ちてしまっては本末転倒です。

 積み立てにすれば、淡々と同じ金額で同じ銘柄を買っていくことになるため、相場をあまり気にせず、投資を自然に続けることができます。相場が低いときはたくさん、高いときは少なく買うことができるという効果も期待できます。

最初はNISAやつみたてNISAにこだわらない

 では、いざ投資を始めようと思ったときに、多くの人がつまずくポイントとして「NISAやつみたてNISAなどがよくわからないこと」が挙げられます。

 NISA(少額投資非課税制度)の仕組みを調べたり、NISAとつみたてNISA、いったいどちらが自分に向いているかと考えたりしているうちに、投資が面倒になり、やめてしまうケースもあります。

 それでは、せっかく投資に一歩踏み出したはずなのに、もったいないですよね……。

 NISAは、利益が出ても税金がかからないというメリットはありますが、ほかの口座で損失が出た場合に、NISA口座の利益と損益通算(利益と損失とを相殺する)ができないなど、投資初心者には少々ややこしい側面(デメリットでもあります)があります。

 そのため、NISAはハードルが高く感じるようであれば、NISAをいったん横に置いておいて、通常の口座で投資を始めるのもありだと思います。投資について経験を積み、理解した上で、NISAやつみたてNISAの口座を開くのもいいでしょう。

 以上、相場が下がって「今こそ投資を始めよう」と思った人が、陥りがちなワナについてお伝えしました。投資に興味が出てきた初心者の方は、まずはごく少額から、勉強代だと思える金額で始めることが肝心です。焦って大きな金額から始めたり、雰囲気に流されたりしないように十分お気をつけてください。

(文=西山美紀/マネーコラムニスト)

西山美紀/マネーコラムニスト・ファイナンシャルプランナー

西山美紀/マネーコラムニスト・ファイナンシャルプランナー

出版社勤務後、2005年に独立し、FP資格を取得。単に貯蓄額を増やすのではなく、うるおいのある毎日のためのお金の使い方・貯め方について発信。Oggi、ミモレ、マリソル、LEE、日経DUALなどの女性誌・WEB等でマネーコラム連載、取材・執筆・監修等。著書に『お金が貯まる「体質」のつくり方』(すばる舎)、『はじめての積立投資・つみたてNISA・iDeCoもよくわかる!お金の増やし方』(主婦の友社)等。

Twitter:@writerN1225

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