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鉄鋼業界、全体が危機…かつて経験したことのない需要減退、JFEの経営悪化懸念広まる

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 米ダラス連銀のアンケート調査によると、シェールガス業界が収益を得るには、WTI原油先物価格が49ドルを上回らなければならない。原油価格が40ドル台に下落した場合、同業界の15%程度の企業が1年以内に債務返済に行き詰まると答えている。

 仮に、原油価格が20ドル台などの水準で低迷すると、かなりの企業がデフォルトに陥る恐れがある。現在、FRBが社債などを購入し、信用リスクが高い企業の資金繰りがなんとか支えられているが、企業の収益と財務内容が一段と悪化すればそれも限界を迎える。本当にそうした状況が現実のものとなれば、各国の大手金融機関が保有するCLOの価値は大きく下落する。その場合、世界の金融システムはリーマンショックを上回る混乱に陥る可能性がある。

 そのリスクシナリオはJFEにとって無視できない。原油価格の動向次第では、わが国の金融システムにも相応の影響が波及し、企業の資金繰り懸念が高まる展開は否定できない。その中で、鉄鋼市況の悪化が鮮明となれば、JFEが保有する資産の価値が下落して減損処理を余儀なくされ、同社がかなり厳しい事業環境を迎えることもありうる。

 この問題は、JFEに限らず、わが国企業全体にかかわる。JFEをはじめ各企業にとって、より厳しい状況が現実のものとなった際、どう資金繰りを確保し事業の継続を目指すか複数のシナリオを準備する必要性が高まっている。コロナショックはグローバル経済が抱えてきた問題を一段と深刻化させ、外部の要因に依存してきたわが国経済の先行き懸念を高めている。

(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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