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吉野家、外食産業が壊滅的打撃のなか圧倒的強さ発揮…新商品続々投入&宅配強化が奏功

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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 松屋もテイクアウトと宅配を強化している。4月6日から、ウーバーイーツで注文した牛めしなどの宅配料が一定額以上の購入で無料になるキャンペーンを始めた。9日からは、テイクアウト限定で、「プレミアム牛めし並盛」と生野菜のセットを18%割り引いて販売するキャンペーンを始めている。16日からは、テイクアウト限定でおかずを15~25%割り引いて販売するキャンペーンを始めた。27日からは、出前館で注文した牛めしなどの宅配料を一定額以上の購入で無料になるキャンペーンを始めている。

 すき家は4月15日から、テイクアウト用の商品を使って自宅で簡単にアレンジできるレシピを動画で紹介する特設サイトを開設した。新型コロナの感染拡大に伴う外出自粛の広がりで、自宅で過ごす時間が増えるなか、料理の手間を軽減できるよう「切る」「洗う」などの調理工程を大幅に省略したレシピを考案。第1弾では、すき家の「高菜明太マヨ牛丼」をアレンジした「高菜明太マヨ炒飯」を紹介している。これによりテイクアウト需要を喚起する狙いがありそうだ。

吉野家の商品強化策

 牛丼チェーン各社は、こうしたテイクアウト・宅配強化で売り上げ減を最小限に抑えることに成功している。もっとも、吉野家の場合は従前からの商品強化が功を奏している面もあるだろう。

 かつて吉野家は苦戦を強いられていた。だが、2020年2月期は商品強化で集客に成功し、同期の既存店売上高は前期比6.7%増と大きく伸びている。19年3月に発売した28年ぶりとなる牛丼の新サイズ「超特盛」と「小盛」がヒットしたほか、5月に発売したライザップとのコラボ商品「ライザップ牛サラダ」や10月に発売した鍋商品「牛すき鍋膳」と陳建一氏とコラボした「麻辣牛鍋膳」などが話題になり、売り上げを下支えした。

 その後も勢いに乗って、話題になる商品を次々と生み出している。今年1月に発売した2種のおかずを選んで組み合わせる「W定食」や、2月に発売したライザップとのコラボ商品の第2弾「ライザップ牛サラダエビアボカド」が話題になった。これらは3月にも販売している。同月の既存店売上高の落ち込みが小さかったのは、こうした商品が下支えしたためだろう。

 吉野家は、こうした商品強化とテイクアウト・宅配強化で、新型コロナによる売り上げ減を最小限に抑えることができている。だが、今後は予断を許さない。政府が発令した緊急事態宣言を受け、吉野家も店舗の休業と時短営業を余儀なくされている。そのため、4月以降は3月以上の減収が避けられないだろう。吉野家HDは今期(21年2月期)の業績見通しについて、新型コロナの影響で合理的な算出が困難として「未定」としている。

 新型コロナの影響が小さかった20年2月期決算は好調だった。連結売上高は前期比6.8%増の2162億円、営業利益は39億円(前期は1億400万円)、最終損益は7億1300万円の黒字(同60億円の赤字)と、増収増益を達成した。だが今期は、相当厳しいものになるだろう。吉野家HDがどのような舵取りを行っていくのかに関心が集まる。

(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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