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白井美由里「消費者行動のインサイト」

なぜ人は「飽きる」のか?そのメカニズムに関する研究…「飽きない」ための4つの方法

文=白井美由里/慶應義塾大学商学部教授
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経験を具体的に捉えると飽きにくくなる

 飽きが来るのを遅らせる2つ目の方法は、経験を具体化、サブカテゴリー化することです【註1】。これはレデンの研究で示されたものです。ジェリービーンズを用いた実験から、食べた個数を「ジェリービーンズを何個」のようにカテゴリ-で数えるよりも、「オレンジを何個、ピーチを何個」のようにフレーバーごとに数えたほうが、食べる楽しさがそれほど減少しないことを明らかにしています。ジェリービーンズとして数える場合は類似点に着目していますが、フレーバー別に数える場合は相違点に着目していることになります。後者のように対象をより詳細なレベルで捉えることは、同じ経験の繰り返しとか退屈といった知覚を減少させることになり、食べる楽しみが上昇するのです。

 レデンはまた、勉強についても同様の実験を行なっています。すでに終えたテスト勉強を「サイエンスの勉強」「数学の勉強」のようにサブカテゴリー化したほうが飽きにくく、その後の勉強を継続する意欲が高くなる傾向にあることを明らかにしています。テスト勉強のように楽しくはないけれどもやらなければならないことについても、類似点よりも相違点に着目することで、面倒とかつまらないと感じるスピードは遅くなります。掃除、洗濯、買物などの家事も捉え方を変えると、それほどうんざりしなくなるかもしれません。

経験だけに注意を向けないようにすると飽きにくくなる

 3つ目は、楽しい経験だけにあまり注意を向けすぎないようにすることです。これは、ブランスロームとミッチェルが実証しています【註7】。ブランスロームらは、ゲームをプレイしながらケーキを食べてもらう状況と単にケーキだけを食べてもらう状況を比較する実験を行いました。その結果、前者のほうが後者に比べ、食欲に関する評価が下がらないことを明らかにしています。つまり、ゲームのように気を散らすものがあると食べ物に向けられる注意量が減るため、飽きにくくなるのです。

 ただし、その代わりに食べ過ぎてしまう可能性が高くなるので、スイーツのような非健康的な食品の場合、摂取量には注意を払う必要があります。この結果から、楽しい経験について考える場合、経験した場所、関わった人、使ったモノなど、その経験と関連することにも注意を向けると飽きにくくなると考えられます。

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5:30更新
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