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安倍首相と雲泥の差…吉村大阪府知事、人気沸騰の陰に隠れる“アキレス腱”

写真・文=粟野仁雄/ジャーナリスト
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 元大阪府知事の橋下徹氏の後継だが、橋下氏のように無用に記者を挑発して「喧嘩の土俵」に引きずり込むことはしない。あくまでも「誠実に」応える。14日の会見では、メディアは事前に広報から「質問は府政に関することに限定してください」と言われていたにもかかわらず、終了間際に「検察官の定年延長をどう思うか」とジャーナリストが質問。

 吉村知事は「検事総長の人事は内閣に権限があると思っています。それがおかしいと思うなら選挙で落とせばいい」などと丁寧に回答していた。一般の知事なら「私がお答えするような質問ではありません」と言って立ち去るだろう。

懸念される個人情報掌握と監視社会化

 そんな吉村知事が12日に発表したのが「大阪コロナ追跡システム」。不特定多数が集まる劇場やライブハウス、イベントの主催者などに大阪府のHPからQRコード(2次元コード)を取り込ませ、印刷して入口に掲示させる。訪れた参加者や利用客がスマホで読み込み、府のHPにメールアドレスを登録する。のちにそこで感染者が発生すれば、府がメールで一斉送信し注意喚起するというもの。

 吉村知事は「登録は1分でできます。施設や集会で陽性者やクラスター(集団感染)が発生した場合、できるだけ早く情報を提供し、新たなクラスターが発生するのを防げる」とPR。「個人情報を守りながらITで新型コロナの追跡システムをつくれないかを検討してきた。あくまでお願いベース。『この店、QRコードはないの?』という空気を大阪でつくっていきたい」と話した。

 会見で筆者が「知事本人のご発案ですか」と尋ねると、「この老人ライター、誰やろ」という顔をしながらも「発案者は府庁のスマートシティ戦略部の坪田(知巳)部長です。役人にはこんな発想できません」などと答えた。日本IBMの大阪事業所長だった坪田氏は橋下知事時代に導入された「民活導入路線」で4月から抜擢された。

 さて、吉村知事は「台湾や韓国はITで陽性者の動きを把握し、それを情報公開して感染拡大防止に努めているが、個人情報の保護を優先するのが日本の法体系。府はメールアドレスだけを管理。名前や住所、電話番号、GPSによる行動履歴などは取得しない」とするが、メールアドレスは個人情報ではないのだろうか。

『マイナンバーはこんなに恐い!』(日本機関紙出版センター)などの著書がある自治体情報政策研究所(大阪府松原市)の黒田充代表は、「メルアドも立派な個人情報だ。メルアドだけで個人を特定できる場合も多い。膨大な個人情報を持つ府がメルアドを氏名、住所などと結びつけることも可能。QRコードをスマホで読み込みメルアドを登録することで、このイベントにこの日時に来たといった行動履歴の個人情報を府に知らせることになる。本人からの同意を得るなどを、再検討すべき」とする。

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17:30更新
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