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黒川智生の「アパレル、あばれる」

レナウン倒産とコロナ禍で決定的、いまだに“ズレてる”アパレル企業は本当に潰れる

文=黒川智生/VMIパートナーズ合同会社代表社員
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 国を挙げて自粛やマスク着用を厳守した成果、中国全土がかなり回復できました。子供の学校や映画館、博物館などもまだ再開できないですが、1カ月前から私も仕事を再開できて、飛行機で飛び回っています。しかし、コロナが原因で中止になった案件もあるし、コスト削減や在庫問題で悩んでいるクライアントからのご相談も続出しています。

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企業訪問するときに、必ず健康コードと体温がチェックされる(タクさん撮影)

 先日、最も管理が厳しい北京市が「人の少ない戸外ではマスクを付けなくてもいい」と発表しましたが、世界の国々がまだ苦戦しているなかで喜べない状態だとみんながわかっており、自主的にマスクを付けています。

ニューノーマル下で、アパレルはどうする?

 以上がタクさんからの報告である。彼女の顧問先である中国のアパレル企業でも、日本とほぼ同じ課題が浮上していることがわかる。どの国でもアパレル産業が同じような構造を持ち、「つくって、がんばれば、売れる」で来てしまった現実を映し出している。

 もうひとつ。「仕事も塾も再開できなくて、どこにも行けないし、家に籠って、子供の教育に集中することが重要なミッションになりました」というタクさんの一文には、今後を考える大きなヒントがある。中国の受験戦争は激烈で小学校から選抜制のため、子供は幼稚園の頃から訓練が必要となる。日本でも同じ部分はあるが、生活する場所によって教育機会を得られるかどうかが左右される面は、中国のほうが大きいと筆者は感じる。

 そういう状況のなかでコロナによって子供たちはより強いストレスを抱え、感情表現がストレートになり、主張のはっきりした服装を選ぶようになるだろう。大人も服装において「感情の主張=本人の嗜好」の強調が進むかもしれない。

 このあたりは日本の“百貨店アパレル”の弱いところだ。おとなしくて高額な継続品番はそろそろやめたほうが、早く“ニューノーマル”に対応できる。例えば、「オンラインの会議や飲み会では、どんな印象が良いか?」といった視点なども、商品開発や販売において重要になってくる。

 コロナによって人々の支出の優先順位が変わり、衣服のそれは少し下がるかもしれないが、まず提供するアパレル企業側から先に動き、消費者に魅力を伝えていくことこそ“アパレルがあばれる”ための最低条件である。

(文=黒川智生/VMIパートナーズ合同会社代表社員)

●黒川智生

VMIパートナーズ合同会社代表社員。國學院大學文学部史学科卒。(株)ワールドにてアパレルブランド業務を担う。2006年3月独立。東アジアのファッションブランドを主な対象として「BRANDING」「MERCHANDISING」「LOGISTICS」の分野で専門的なサービスを提供している。一般財団法人ファッション産業人材育成機構(IFIビジネススクール)では、各種クラスで講師も担当。

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