NEW

チバニアン、見学時の注目点と認定までの騒動概説…地球史上最後の地磁気逆転層が確認

文=水守啓/サイエンスライター
【この記事のキーワード】, ,

 楡井氏とすれば、盗掘したサンプルから得られたデータが国際学会に提出され、認められることはありえない。科学倫理違反に加えて、そのような不正行為を犯した岡田氏は科学者として失格ではないかとさらに対立姿勢を強めたのだった。

 それでも、結局のところ、岡田氏らは田淵の露頭全域をカバーするサンプル採取ができたことになり、地磁気の測定においても、より優れた方法(熱消磁法と交流消磁法)を採用して、地磁気逆転が存在したことを示すことができた。

 千葉セクションにおいて、地磁気逆転を確認できることに間違いはない。そして、そこが地磁気逆転層を明確に示すGSSP(国際境界模式層断面及び地点)と認められ、約77万4000~12万9000年前の地質時代が正式に「チバニアン(千葉時代)」と命名されたことも揺るぎない。

 ただ、疑義が生まれるきっかけとなったのは2015年夏だった。その前年には、STAP細胞論文の騒動があり、科学者はデータの取り扱いに慎重にならねばならないことが再認識された時期だった。そして、科学論文は、誰にどこを見られても落ち度がなく、完成度を高く仕上げてから、提出されるべきことを学んだはずだった。おそらく、楡井氏はそのようなことを意識し、最終的な申請の前に、正すべきことは正しておくべく、結果的に研究の妨害とすら思われるような過剰反応を示したものと思われる。そして、もちろん、岡田氏らのデータの取り扱いに関しても、反省すべき点は少なからずあったと思われる。

 どのような経緯があれ、大多数の近隣住民らはチバニアン認定に喜んでいる。だが、今でも現地を訪れれば、露頭に「地磁気未測定の部分」という表示が残されている。予備知識がなくても読み取れるのは、地磁気逆転の痕跡ではなく、疑義の痕跡であるのは残念だが、それを反省材料に、なんの疑いの余地もない完成度を目指し、相応しい手続きを経て、学術調査・研究活動が進められていくことを願いたい。

(文=水守啓/サイエンスライター)

チバニアン、見学時の注目点と認定までの騒動概説…地球史上最後の地磁気逆転層が確認の画像3
写真=水守 啓

参考:

https://biz-journal.jp/2019/07/post_111638.html

https://www.city.ichihara.chiba.jp/bunka/bunkabunkazaitop/gssp.html

【水守 啓(ケイ・ミズモリ)】

「自然との同調」を手掛かりに神秘現象の解明に取り組むナチュラリスト、サイエンスライター、代替科学研究家。 現在は、千葉県房総半島の里山で農作業を通じて自然と触れ合う中、研究・執筆・講演活動等を行っている。
著書に『世界を変えてしまうマッドサイエンティストたちの【すごい発見】』、『ついに反重力の謎が解けた!』、『底なしの闇の[癌ビジネス]』(ヒカルランド)、『超不都合な科学的真実』、『超不都合な科学的真実 [長寿の謎/失われた古代文明]編』、『宇宙エネルギーがここに隠されていた』(徳間書店)、 『リバース・スピーチ』(学研マーケティング)、『聖蛙の使者KEROMIとの対話』(明窓出版)などがある。

ホームページ: http://www.keimizumori.com/

情報提供はこちら

RANKING

5:30更新
  • ジャーナリズム
  • ビジネス
  • 総合