92年7月、中国・大連で自社工場を開設、日本の食品メーカー6社に工場を貸した。自社の従業員を使ってもらうことで製造ノウハウを蓄積。大連工場で製造したわさびや梅干しを欧米で販売したのを手はじめに製造卸売業に進出した。

 沼田氏はスーパー界のユニクロというべき製販一体のビジネスモデルを構築し、2000年3月、業務スーパー1号店をオープンし、社名を神戸物産に変更した。これを機にフランチャイズチェーンの展開を始めた。業務スーパーとしたのは、卸価格で購入でき、プロが納得できる品質であることを内外に示すためだった。

 自社でコストをコントロールした商品を売り切る力があれば、ナショナルブランド(NB)より低価格で販売しても、確実に利益をあげることができる。人件費、原材料費が安い海外を生産拠点にし、商社や卸を使わず自社で製造・販売するのだから中間マージンを省くこともできる。FCを中心に店舗展開しているので設備投資負担も少ない。

 このビジネスモデルが評価され、06年6月、大証2部(12年大証1部、13年に東証、大証の市場統合により東証1部)に上場を果たした。08年から国内の赤字メーカーを次々と買収、生産子会社に組み込んでいき、国内での製造体制も整えた。12年2月、沼田昭二氏の次男の博和氏が社長の椅子に座った。

最大の試練だったインサイダー取引事件を乗り切る

 博和氏は1980年生まれ。京都薬科大学薬学部・同大学院卒業後、大正製薬に研究者として入社。09年、父が経営する神戸物産に転職。32歳の若さで社長に就任した。

 インサイダー取引事件が博和社長の最大の試練となった。16年2月、証券取引等監視委員会と兵庫県警が合同で金融商品取引法違反容疑で神戸物産の本社など関係先を強制調査した。同社は14年12月、自社株買いを実施し、31万株を30億円で取得した。15年7月にも47万株を53億円で買い取った。いずれのケースも公表前から徐々に株価が上昇し始め、公表後に急騰した。

 神戸物産の取引先関係者が自社株買いの情報を事前に入手し、神戸物産株を大量に買い付け多額の利益を得たとみて、関係当局が実態解明に乗り出した。兵庫県警は神戸物産の関係者6人と1法人を金融商品取引法違反容疑で神戸地検に送検した。16年12月、インサイダー取引疑惑について、神戸地検は不起訴処分とした。同地検は不起訴にした理由を明らかにしていないが、「関係者全員がインサイダー情報のやりとりを否認した」(関係者)ということのようだ。

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