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JAL、未曾有の危機下にエアバス最新機購入…財務悪化懸念、経営陣の認識に疑問広まる

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 12年9月、JALは再上場を果たした。それ以降、同社の収益は比較的堅調に推移した。その大きな要因として、JAL自身の改革に加え、米国を中心に世界経済全体がそれなりの落ち着きを維持したことは大きい。FRB(連邦準備理事会)は低金利政策を重視し、それを追い風に米国の個人消費は緩やかに回復した。それが中国をはじめ新興国経済などの安定感を支えた。その中で日本はインバウンド需要の取り込みに注力し、国内外の旅客需要が増大してJALの業績が拡大した。

規模拡大に伴う新型機納入計画の不安

 コロナショックの発生によって、JALの実力が問われ始めたともいえる。つまり、経営破綻を経てJAL経営陣が組織全体に採算性やリスク管理を徹底できたか否かが問われている。

 感染拡大を抑えるために世界各国が動線(人の移動)を遮断し、航空旅客をはじめ需要が忽然と消えてしまった。需要の大幅な落ち込みと供給の制約を乗り切るために、企業は徹底して支出を抑え、兎にも角にもキャッシュを確保しなければならない。航空企業は飛行機を飛ばすことができなければ収益を生み出すことができない。この根本的かつ最も重要なポイントを経営陣が確実に理解しているか否かによって、今後の企業経営にはかなりの影響が出るはずだ。

 やや気になることが、JAL経営陣が先行きのリスクをどう考えているか、ステークホルダーに明確になっていないと考えられることだ。それを確認する材料の一つとして、新型機の納入に関する考え方がある。4月末時点で、JALはエアバスのA350-900型機の納入計画を堅持している。同社はその理由として、ほとんど完成している機体の受領延期が難しいこと、既存機種との入れ替えによって運航面の効率改善を図ることを挙げている。

 ただ、現在、航空機を飛ばそうにも需要がない。運航面の効率改善を重視すべき状況ではない。この考えから、新型機の納入を計画通りに進めることに疑問を抱く市場参加者もいる。あるベテランアナリストは、「2020年3月期の第2四半期以降、JALのフリーキャッシュフローはマイナスだ。今、経営陣はキャッシュのアウトフローを減らさなければならない」と話していた。なお、機種は異なるが、ANAは4月に納入予定だったエアバスの超大型機A380の納入延期を固めたと報じられている。

 2012年の再上場以降のデータを見ると、JALは保有する航空機の台数を増やしてきた。コロナショックによって世界の航空需要が消滅している状況下、経営陣が新機種の導入計画を維持していることを見ると、規模の拡大を重視する同社の経営風土はいまだ根強く残っているように思える。

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