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JAL、未曾有の危機下にエアバス最新機購入…財務悪化懸念、経営陣の認識に疑問広まる

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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足元で業績・財務リスクの上昇懸念

 JALは20年3月期の期末配当を見送った。新型機の納入計画を堅持しつつも、経営陣は今後の事業環境が一段と厳しさを増し、財務面などにかなりの影響があると警戒している可能性がある。仮にそうであるなら、経営陣はこれまでの経営戦略を見直し、支出を徹底して削減しなければならない。

 冷静に考えると、コロナショックの影響から世界経済の成長率はさらに落ち込むだろう。それに加え、米国では多くの企業が株主への価値還元を優先して自社株買いを進め、財務レバレッジが高まってきた。多くの企業において債務が積みあがる一方、自己資本の比率が低下している。その上にコロナショックによる需給の崩壊が加わり債務超過に陥る企業が出ている。

 一例として、3月末時点で米アメリカンエアラインは債務超過だ。アメリカンエアラインは連邦政府から58億ドル(約6200億円)の金融支援を受けた。同社は追加の支援を申請しており、政府からの支援規模は円換算で1兆円を超える規模に達する可能性が高い。これはJALをはじめ日本の航空業界にとって他人事ではない。

 また、独ルフトハンザは40機超の航空機を削減しつつ、破綻処理をも模索している。その背景には当面の難局を乗り切ると同時に、アフターコロナを視野にできるだけ早く構造改革を進める狙いがあるのだろう。突き詰めていえば、ルフトハンザ内部にはコロナショックを支出削減などで乗り切ることは難しく、抜本的な改革を進めるために破綻処理は避けられない可能性があるとの見方があるのだろう。それは、今後の事業環境の変化に対応して設備投資や人材の確保を進めるために重要となる可能性がある。

 世界の航空大手の取り組みを見ていると、JALの対応が十分とはいいづらい。むしろ、事態を楽観しすぎている、あるいは、リスクを感じつつも決断しあぐねているように見える部分がある。今こそJALは経営破綻の教訓を生かして、自力で生き残ることを目指さなければならない。

(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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