スターバックスは地域性や客層などを考慮して、外観や内装などを店舗ごとに変えている。京都だったら町家風、蔵の街で知られる埼玉県川越の店は蔵造りの街並みと調和した外観・内装にしている。こうした店づくりは、いまや広く認知されつつある。

 スターバックスの個性を打ち出した店づくりが脚光を浴びたきっかけは、「世界一美しいスターバックス」として有名になった富山県富山市の富山環水公園店だった。同店は2008年にストアデザインアワードの最優秀賞を受賞。これを機にスターバックスの美しい店舗が業界でも注目されるようになる。以降、10年には福岡県福岡市の福岡大濠公園店、2011年には福岡県太宰府市の太宰府天満宮表参道店などが受賞していった。

スタバに追随の動き

「こうしたスターバックスの攻勢を横目に、他社もチェーン店らしくない店づくりを始めて追随するようになっています。最近はコンビニの弁当・ドリンク類もかなりクオリティが高く、それゆえに外食産業として対抗するには味だけでは難しくなっています。客をつなぎとめるためにも、画一的ではない、個性のある店づくりが課題になっているのです」(前出・飲食業界関係者)

 ガストで知られるファミレスチェーン最大手のすかいらーくグループのジョナサンは、静岡県熱海市に全面ガラス張りの店舗を設け、オーシャンビューを眺めながら食事を楽しむことができる。まるでリゾートホテルと見紛うような絶景をファミレス価格で堪能できてしまうお得感も手伝って人気店になっている。こうした店づくりに力を入れて脱チェーン化する動きが活発化するなか、さらに一歩踏み込んで本来の店舗からスピンオフするような店も出てきた。

 すかいらーくは横浜市内でハワイアンをイメージした店舗「ラ・オハナ」を2店だけオープンさせている。ラ・オハナには、すかいらーくがこれまでとってきた割安感はない。それでも全国でも2店舗だけしかないという希少性、味や雰囲気のよさも手伝って、週末は多くの客が押し寄せる。

 牛タン・とろろ・麦めしのメニューでチェーン展開してきたねぎしは、東京・有楽町駅の近くに豚肉料理をメインメニューにした「ねぎポ」をオープン。これまでの店とは異なり、メニューは豚肉料理がメイン。それでも、料理の見栄えなどにこだわり、内装もおしゃれにしていることから、女性客を中心に好評を博し、ねぎポは19年12月には御茶ノ水駅の近くに2店舗目を開店させた。

 外食業界は脱画一化で消費増税や新型コロナウイルス禍という逆境を跳ね返せるか。

(文=小川裕夫/フリーランスライター)

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