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JR東海、33年間取締役の葛?西氏が名誉会長続投…しまむら、79歳元会長が取締役復帰

文=編集部
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中央新幹線営業運転に投入予定のL0系(「Wikipedia」より/Hisagi)

 JR東海は5月15日、葛?西敬之取締役名誉会長(79)が6月23日の定時株主総会で取締役を退任する人事を発表した。葛?西敬之氏が取締役から退くのは1987年の会社発足以来初めて。33年あまりで退くことになる。名誉会長の職は続ける。

 葛?西氏は63年、旧国鉄に入社。のちにJR東日本社長となった松田昌士氏、JR西日本社長を務めた井手正敬氏とともに、国鉄改革「3人組」の1人として知られる。95年に社長、2004年から会長を務め、14年に名誉会長に退き、18年には代表権を返上した。

 取締役の退任はJR東海の「葛?西時代」の終焉を意味するのだろうか。在任中の最大の事績は、27年の開業を目指しているリニア中央新幹線を“国家の事業”に格上げしたことである。

安倍晋三首相を支えてきた男

 葛?西氏は安倍晋三首相に近い経済人として知られる。首相動静によると、今年1月17日、東京・平河町の日本料理店「下関春帆楼東京店」で葛?西敬之JR東海名誉会長、古森重隆富士フイルムホールディングス会長、ジャーナリストの櫻井よしこ氏と会食している。3月31日には、官邸で葛?西氏と会った。

 葛?西氏は親米保守派の論客として、首相の右派人脈につらなる人物だ。日本最大の右派団体である日本会議の幹部と顔ぶれが重なる「美しい日本の憲法をつくる国民の会」では、代表発起人に名を連ねた。また、安倍首相が第1次政権時代に肝いりでつくった「教育再生会議」のメンバーを務めた。

 葛?西氏は、安倍氏が首相に就任する前から、大企業のトップでつくる親睦会「四季の会」をつくり、安倍氏を支えてきた。この中心メンバーが葛?西氏と古森氏である。「四季の会」はNHK(日本放送協会)の人事権を掌握してきた。第1次安倍政権の発足以来、NHKの経営委員会委員長や会長の人事に影響力を及ぼしてきたとされる。今年NHKの会長に就任した元みずほフィナンシャルグループ会長の前田晃伸氏も「四季の会」のメンバーだった。

 安倍政権は日本の成長戦略として、社会インフラの輸出を打ち出した。その柱の一つがJR東海の東海道新幹線の輸出。インフラから保守点検までパッケージで輸出する。葛?西氏は、かつてJR東日本と川崎重工業が新幹線技術を中国へ輸出したことについて「国を売り渡す行為」と猛反対した。リニア中央新幹線の総事業費は9兆円。JR東海は当初「自己資金で建設する」としていたが、2016年6月、安倍政権は3兆円の公的資金の投入を決定した。JR東海は財政投融資を活用して長期借り入れを行った。リニア中央新幹線の工事は、まだ着工できない工区もある。27年開業に暗雲が立ち込める。

 安倍政権と太いパイプを持つ葛?西氏がJR東海の取締役を退任する。コロナ対策で迷走する安倍首相も風前の灯だ。JR東海は、コロナ危機をどう乗り切るのか。

衣料チェーンしまむらの“中興の祖”藤原秀次郎相談役が取締役に復帰

 衣料品チェーンしまむらは5月15日開催した定時株主総会と取締役会で、藤原秀次郎相談役(79)が取締役に復帰した。藤原氏は1990年から15年にわたって同社社長、2005年からの4年間、会長を務めた。しまむらの“中興の祖”ともいえる人物だ。

 藤原氏は今年10月には80歳になる。役員復帰に株主の反応は厳しかった。同社が開示した臨時報告書によると、藤原氏の取締役選任の賛成率は66.9%にとどまった。他の取締役は、今年は改選期ではない。藤原氏は1940年10月、神奈川県生まれ。63年、慶應義塾大学を卒業後、家業を経て、70年に株式会社しまむらの前身、島村呉服店に入社した。

 創業者の島村恒俊氏が1953年、埼玉県小川町で島村呉服店を設立。61年に東松山市に「しまむら」第1号を出店してチェーン展開を始めた。70年に「東松山ショッピングセンター」を開設。この年、藤原氏が入社した。藤原氏の経営者として才能を見出したのは島村氏だ。若い頃から重要な役割を与え、どんどん昇進させた。入社5年で取締役、入社11年で専務へ昇格した。

 コンピュータがほとんど普及していなかった70年代にコンピュータを導入。しまむらの各店舗をオンラインで結び、在庫管理から発注まで独自のシステムを構築した。店舗数が100店舗だった90年、藤原氏は49歳の若さで社長に就任。翌91年、しまむらは東証1部上場を果たした。猛烈な勢いで全国に展開。2009年相談役に退くまでに店舗数は1500店を突破した。社長・会長の在任中に店舗数を15倍に増やしたことになる。

低価格商品はネットで買う時代になる

 藤原氏の後を継いだ野中正人社長は、2018年に退くまでに店舗数を2000店に増やした。野中氏の後任の北島常好社長に託された使命が「10年で、3000店、売上高1兆円」を達成することだった。しかし、成長に陰りが見えてきた。コストを抑えた郊外への出店や、独自の仕入れ販売で低価格を実現し、消費者に支持されてきた。

 近年はファーストリテイリング系のGU(ジーユー)などの低価格を売り物にするライバルが出現。ネット通販との競争も激化した。対抗策として、しまむらが打ち出した値引き販売の拡大や商品数の絞り込みが裏目に出て、客離れが進んだ。しまむらの2020年2月期の連結決算の売上高は前期比4.4%減の5219億円、営業利益は9.7%減の229億円、純利益は17.9%減の131億円と減収・減益だった。新型コロナウイルスの感染拡大で、21年2月期の業績見通しは「未定」とした。

 20年2月期の既存店売上高は四半期ベースで5~9%減が続いた。これにコロナ禍に伴う外出自粛が追い討ちをかける。売り上げの8割を占める「ファッションセンターしまむら」の20年3月の既存店売上高は前年同月比12.1%減、4月は28.1%減と大きく落ち込んだ。20年2月、販売不振の責任を取り北島社長は退任した。店舗管理や物流のシステム担当の鈴木誠取締役が社長に昇格。3月の株主総会で“中興の祖”藤原秀次郎相談役が取締役に復帰した。

 コロナ後の小売業はスマホでのショッピングが主流になる。低価格商品はネットで購入する。実店舗のチェーン展開を進めてきた、しまむらには厳しい時代となった。多店舗展開の成功体験をもつ“中興の祖”は、小売業のネット化という大きな潮流に、どう向き合い、棹さすのだろうか。

(文=編集部)

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