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長野県で男女3人が死亡した悲劇の裏側…バットマンと呼ばれた暴力団幹部の暴走が原因か

文=沖田臥竜/作家
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事件現場周辺では、警察官による交通規制も見られた。

 5月26日夜、長野県坂城町の住宅で男女3人が死亡するという事件が起こった。亡くなったのは、この住宅の主である市川武範さんの長女と次男、そして、その2人を拳銃で殺害したあとに自殺したと見られる小沢翔容疑者だ。

 報道では小沢容疑者は「暴力団関係者」とされるが、同容疑者が所属していたのは六代目山口組の三次団体で、その組織が初代体制だった頃、長野県内でもうるさ型として有名であったのを筆者も記憶している。

 特に、初代から二代目体制発足にかけて若頭を務めていた元幹部は、本家組織での部屋住みというヤクザ社会の王道ともいえる修行を経験しており、若手の有望株として業界内でも知られる人物であった。もちろん筆者も、その人物の名前を、ある事件とともに認識していた。

 その組織が二代目体制になった頃だったろうか。ある事件で、同組織へ不義理をした人物がいた。それに対する組織側の報復は戦慄が走るような悲惨なもので、長野県内でも有名な話として、業界内で語り継がれることになっていく。

 その惨劇とは、相手方を拉致し拷問を加えた上で、指を万力で潰してみせるというものだった。

 ここまでの事態に発展したそもそもの理由はここでは割愛するが、組織側がそれだけの怒りを覚える理由は確かにあったのかもしれない。だからといって、そうした凄惨な制裁を考えるのと、実際に行動に移すのとは訳が違う。前述した若頭を筆頭に、この組織はそうしたことをやってのけてきたのだ。そして、当時もそのなかにいたと見られるのが、小沢容疑者であった。

 今回の事件の発端は、小沢容疑者の元妻の浮気が原因であったと、同容疑者のことを知る筆者の知人は語る。

「殺された市川さんの22歳の長女と16歳の次男は、小沢容疑者の元妻の浮気相手の男性Aさん(市川さんの長男)の妹さんと弟さんになります。Aさんと小沢容疑者の元妻は、同じ職場で働いていました。事件の2日前、Aさんに対して、小沢容疑者はコンビニの駐車場で暴行を働いています。その時に一緒にいたのが、小沢容疑者が所属する組織の二代目組長の実子になります。

 その際、Aさんに警察へと駆け込まれ、その結果小沢容疑者には傷害容疑での逮捕状が出ていました。一緒にいたとされる組長の実子は組員ではないものの、現在組織で若頭を務める小沢容疑者が“若い子”として預かっていた関係だったようです。

 ただ、Aさんに対する嫌がらせは、それだけでなかったと聞いています。市川さん宅の窓ガラスを割ったり、車を破壊したりしていたようです。私自身もかつて小沢容疑者とトラブルになったことがありますが、気性が荒く、捜査関係者らの間では“バットマン”と呼ばれていました。ケンカになれば、すぐに金属バットを使うからです。詳細などはわかりませんが、以前のトラブルでは、金属バットで相手の両足を骨折させたなんてことがあったようです」

 だからといってなぜ、小沢容疑者はAさんが自宅にいなかったにもかかわらず、そこに乗り込み、関係のない2人を射殺したのだろうか。しかも小沢容疑者は、拳銃を2丁も所持していた。

「元妻に浮気をされ、逮捕状が出て、やぶれかぶれだったのかもしれませんね。それに16歳の弟さんはボクシングをやっており、腕には自信があったという話です。憶測ですが、もしかすると弟さんに反抗的な態度を取られて、カッとなった可能性もあるかもしれませんね」(前出の知人)

 結局、無関係の2人が命を落とす結果となり、容疑者本人も自ら命を絶ったのである。加害者からも被害者からも話を聞けなくなってしまったなかで、事件の真相は今後、どこまで明らかにできるだろうか。いずれにせよ、近年まれに見る、悲劇的な結末を迎えた事件となってしまったといえるだろう。

(文=沖田臥竜/作家)

●沖田臥竜(おきた・がりょう)
2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、『山口組分裂「六神抗」』365日の全内幕』(宝島社)などに寄稿。以降、テレビ、雑誌などで、山口組関連や反社会的勢力が関係したニュースなどのコメンテーターとして解説することも多い。著書に『生野が生んだスーパースター 文政』2年目の再分裂 「任侠団体山口組」の野望』(共にサイゾー)など。最新小説『忘れな草』が発売中。

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