しかし、2000年以降は伸び悩むようになった。地方の人口減少や主戦場の郊外で出店余地が限られるようになったことなどで、市場は飽和状態となった。また、ディスカウントストアやインターネット通販など業種を越えた競争が激化し、勢力拡大が難しくなった。前出の協会によると、19年度の市場規模は3兆9890億円で、10年以上にわたり4兆円弱で推移している。ただ、10年代後半はわずかながらも市場は年々拡大している。

 近年の市場拡大の背景には体験型の「コト消費」の拡大がある。その代表格が「DIY消費」だ。ホームセンターで材料や工具を買って、自身の手で自宅のインテリアや庭をつくり変える人が増えているのだ。DIY消費が活況を呈し、ホームセンターも活気づくようになった。

 そうしたなか、近年のホームセンターは商品を単に売るだけでなく、売った商品で買い手の暮らしをどう豊かにするのかを提案することが求められている。約220店を展開するカインズは、こういった需要をターゲットに、工具の使い方の講座を開いたり、自社サイトで小物をつくる動画を配信したりしている。

 約1200店を展開するコメリも、コト消費需要の取り込みを図っている。商品の使い方の動画を配信したり、商品知識や技術水準を測定する「マイスター制度」を導入して販売スタッフの提案力を高めたりしている。

 カインズは郊外で成長を果たしたが、近年は都市部にも進出している。ここでもコト消費を意識している。17年に小規模の新型店「スタイルファクトリー」の1号店をオープン。売り場は従来の商品別ではなく生活様式別で区分けし、商品は既存の店舗と比べてプライベートブランド(PB)の比率を高くした。また、工作ができる工房を設置したほか、スタッフがつくった小物などに触れたりデジタルサイネージ(電子看板)に映るDIYの制作動画を見ながら休憩できるカフェを設置した。コト消費に対応した体験型の店舗といえるだろう。18年には2号店をオープンしている。

 こうしたコト消費の盛り上がりを受けて、近年はホームセンターが活気づいている。そして、新型コロナの影響でさらなる盛り上がりが見込まれる。日用品を買う場としてのほか、新型コロナの感染拡大を受けた在宅勤務の広がりで、自宅をオフィス化するための商品を買う場としてホームセンターに視線が注がれているのだ。もちろん、従来型のDIYを楽しむ人も増えるだろう。

 また、在宅勤務や外出自粛によって自宅で過ごす時間が増えたことで、癒しを求めてペットを飼う人が増えており、ペットの買い場としても関心が集まっている。3月の商業動態統計においてペット・ペット用品とDIY用具・素材がそれぞれ大きく伸びたことからも、それがよくわかる。

 コロナ収束後も在宅勤務の定着などで、こうした消費行動はさらに盛り上がりそうだ。そうなれば、ホームセンターには追い風となる。各社、その風にうまく乗れるのかに注目したい。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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