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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

今こそ、農業従事者を増やすべきでは?危機的に低い食料自給率改善と失業者救済の提言

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事
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日本の食糧事情

 では、日本はどうなのでしょうか。今回のCOVID-19の騒動のさなか、農林水産大臣は「食料品は、十分な供給量を確保しているので、安心して、落ち着いた購買行動をお願いいたします」と発言しましたが、その十分な備蓄量とは、米が190日分、小麦は70日分とのことです。筆者が考えるに、この量を十分と判断する根拠がどこにあるのか、理解できません。農水省はこの量で食料供給に問題はないと考えているようですが、筆者は不安を覚えます。

 農水省は以前から「我が国の食料自給率は危機的に低く、しかも年々低下しており、このままでは日本の食料安全保障が危うい」と言ってきたのですが、何がどう変化して、今は大丈夫と言えるようになったのでしょうか。甚だ疑問です。

 現在、インド、ロシアなどの主要穀物生産国が「国内の備蓄を増やすため」という理由で、輸出量を制限し始めました。その動きが東南アジア、および東ヨーロッパの国々にも広がっているのです。いわゆる「食料ナショナリズム」です。

 WFPは「食料の生産国が輸出制限を行えば、世界の穀物価格を引き上げ、食料の輸入に頼る国々に重大な影響を及ぼすことを認識すべきだ」とも述べています。その、食料の輸入に頼る国、とはどこでしょうか。言うまでもありませんが、我が国、日本です。

 懸念点はまだあります。当初、アフリカ東部で大量発生し、穀物類を食い尽くしてしまうと恐れられているサバクトビバッタの大群がケニア、スーダン、エチオピア、ソマリアなどを経て、エジプトからアラビア半島に渡り、イエメン、サウジアラビア、クウェート、UAE、イランなどにも被害をもたらし、今はパキスタン、インドにまで広がり、さらには東南アジアのベトナム、カンボジアなどへと、その被害が拡大する可能性もでてきました。

 賢明な読者の方々は、筆者の憂いが、決していたずらに危機感を煽るようなものではなく、実は、もうすぐそこまで来ている事実上の危機なのだ、ということがおわかりいただけることと思います。

 今日、明日にできることではありませんが、国民を守るために少しでも食料自給率を上げなければならない時が来ているのです。筆者が前回、今回と2回にわたって提案させていただいた、失職者の方々の農業へのシフトを実現することができたら、それで十分とはいえないまでも、ある程度の支えにはなり、国民の多くがこれまでの考え方を改めて、農業を含めた第一次産業の重要さに目覚めるきっかけになるのではないかと、期待する次第です。

 私たちは今になって、国の無策を、政治家の無能を嘆いても仕方がないことはわかってはいますが、最後の、一縷の望みをつないでいる、というのが現状であると思います。

 それはそれとして、これからは自分の力で食料の確保をしていく以外に手はないのかもしれないと、筆者は真剣に考えています。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)

●南清貴(みなみ・きよたか)
フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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