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ソニーの年間研究開発費、アップルのたった3カ月分…GAFA並み企業不在の日本の危機

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 近年のソニーの経営戦略を振り返ると、同社は米中の大手ITプラットフォーマーに対抗する潜在的な力を持つ数少ない日本企業の一つに見える。ただ、ソニーの研究開発費は年間5000億円程度であり、アップルの四半期の研究開発費に等しい。さらに中国では政府がファーウェイなどの研究開発を強力に支援している。

 成長を目指すために、新しいテクノロジーを開発し、それを実装したモノやサービスを提供することは避けて通れない。2012年以降、ソニーは構造改革を進めCMOSイメージセンサーをはじめ、長期的に成長期待の高い分野に経営資源を再配分してきた。現在、ソニーは人口呼吸器など医療機器の生産や、人の感情を認知する“友達ロボット”の開発にも取り組んでいる。その実現に向け、ソニーが国内外の企業とよりオープンに情報を共有し、より先端のテクノロジーの実現に取り組む意義は大きい。反対に、自前で新しい取り組みを進めようとすればするほど、技術の陳腐化など変化への対応は難しくなる。

 コロナショックを境に、世界経済は急速に変化し始めている。経営者は企業全体が向かうべき目標を明確に定め、迅速に改革を進めなければならない。経営者の意思決定が遅れれば、世界の大手ITプラットフォーマーとの競争に対応することは難しくなるだろう。さらに、コロナショックによって世界全体で個人の力の重要性が増す可能性を考慮すると、ソニーのように構造改革を進め新しい発想を実現できる人材を育成・確保し、活躍の場を提供することは避けて通れない。そうした企業が増えれば、わが国の経済・社会の活力は高まるだろう。そのために政府が構造改革を推進しなければならないことはいうまでもない。

(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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