M&Aを推進した背景には、スケールメリットを生かしたコスト削減の狙いもある。共通する食材の仕入れ価格を、安いほうの価格で統一することで仕入れ価格を低減できるほか、規模の大きさを武器に仕入れ価格のさらなる低減も期待できる。また、コロワイドが持つセントラルキッチン(集中調理施設)を活用することで、製造コストを抑えることもできる。それぞれの物流網を活用することで、物流コストも低減できる。本部コストの合理化も図れる。本部を一緒にするなどで本部の人員配置や賃料の面でコストを低減できるのだ。こうしたコスト削減効果も期待してM&Aを進めてきた。

 こうしてコロワイドはM&Aを積極的に推進することで成長を果たしてきたわけだが、近年は成長に陰りが見えている。20年3月期まで2期連続で減収になるなど精彩を欠いているのだ。背景には、買収した企業の再生が進んでいないことがある。特に足を引っ張ったのが、かっぱ寿司だ。

「安かろう、まずかろう」という悪いイメージが定着し業績が低迷していたところを狙って、コロワイドが傘下に収めた。再建を果たすことで業績拡大を実現する狙いだった。だが、再建は思うように進んでいない。運営会社のカッパ・クリエイトは、20年3月期まで7期連続の減収が続いているほか、何度も最終赤字を計上している状況だ。

新型コロナの打撃も深刻

 傘下の居酒屋の再生が実現できていないことも大きい。不採算店の閉店を進めるなどしてきたが、抜本的な改善には至っていない。居酒屋業態の19年4~9月期の既存店売上高は前年同期比1.4%減と、マイナス成長になっている。レストラン業態が1.8%増と成長していたのとは対照的だ。居酒屋業態の低迷は長らく続いており、さらなるてこ入れが求められていた。

 こうしたさなかに新型コロナが直撃した。外食は大打撃を受けたわけだが、今後も当面は厳しい状況が続くだろう。コロワイドとしても、抜本的なてこ入れを実施していく必要があるが、不振が続いている居酒屋のてこ入れは最重要課題といえる。そのため、居酒屋業態を中心に196店もの大量閉店を断行する。

 また、宴会需要が減少していることに対応するため、少人数での利用に対応するほか、個室感覚の客席を備えたり、退潮著しい総合居酒屋から勢いがある専門居酒屋への転換を加速させるなどして、消費者ニーズの変化に対応する考えだ。レストラン業態では、新型コロナの影響で需要が伸びている宅配やテイクアウトの機能を拡充させて、需要の取り込みを狙う。

 新たに立ち上げた、各種施設に食事を提供する給食事業も推進していく。少子高齢化などを背景に、介護施設や病院などにおける給食市場が拡大傾向にあることから参入を決めた。19年12月に会社を設立し、20年1月に同事業を立ち上げた。すでに他社の社員食堂を手がけており、徐々に領域を広げていく考えだ。既存事業のてこ入れだけでなく、こうした新規事業にも乗り出し、攻めの経営も織り交ぜて事態の打開を目指す。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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