第一に、一時滞在場所や一時住宅で暮らせる期間の延長が必要である。仕事を探して自立しようと努力しても、この大不況では簡単にはいかない。支援の期間に重大な不安を覚える当事者が多いのだ。

 応対した都の福祉保健局保護課の西脇誠一郎課長は、「基本は居宅(アパートなど)保護。ただ、申請者に対して一斉にドーンと提供するのは難しく、調整していきたい」旨を答えた。また、一時住宅の当初の期間「3か月間」を「4カ月間」に延長し、個別対応していく方針だと、福祉保健局は答えている。

給付金10万円をホームレスは受け取れないのか?

【完了】緊急事態宣言解除で住宅難民が急増の恐れ…一時住宅は期限切れ、仕事も現金給付もなしの画像3
「新型コロナウイルス禍に伴う住宅喪失者への支援強化についての緊急要望書」 賛同団体:ホームレス総合相談ネットワーク、有限会社ビッグイシュー日本、一般社団法人つくろい東京ファンド、認定NPO法人ビッグイシュー基金、特定非営利活動法人TENOHASI、呼びかけ人北畠卓也氏。

 次に問題となるのは、現金給付がないので自立しようにも自立できない実情がある。

 申し入れに参加した、路上で雑誌を販売して売り上げの一部を販売者の収入とする事業を行っている有限会社「ビッグイシュー日本」の佐野未来氏は、「一時的に住まいを確保できても、現金給付がないために困っており、『なんでもいいから仕事はないか』という相談が非常に多い」と言う。

 池袋で長年、ホームレス支援をしているNPO法人「TENOHASIてのはし」の清野賢司代表理事は「相談してくる人の多くは、生活保護でなく、なんとかがんばって仕事を探して自立したいと希望している。だから、東京都が彼らに仕事を出したり、現金給付を検討することはできないか」と、都に申し入れた。

 一般社団法人「つくろい東京ファンド」の稲葉剛代表理事によると、「過去に実施された地域生活移行支援事業において、東京都は公園清掃などの仕事を出していました」とのこと。

 実際、就労意欲の強い住宅喪失者が多いので、現金給付や都が仕事を出すことも重要だろう。

 そして、ここでさらに大きな壁が立ちはだかる。それは、5月末時点で政府が一部実行した唯一の有効な直接支援といえる「一律の10万円給付」がホームレスの人々に届かないことだ。

 4月27日時点で「住民登録のある人」が、給付を受け取れる条件だからである。ホームレスの人々が受け取れる可能性は低い。一時滞在場所のホテルに住む当事者が、かつて住民登録のあった自治体に問い合わせると、「住民票をホテルには移せない」と断られた例があるという。国が各自治体に通達を出し、緊急対応してすべての人々に10万円を支給するしかないだろう。

 以上見てきたように、緊急事態宣言が解除されても、今後ますます住まいを失う人が続出する恐れがある。したがって、東京都も緊急体制をとり、一時住宅や一時ホテルの柔軟な期間延長、現金給付、仕事を与えることは急務だ。
(文=林克明/ジャーナリスト)

※今回、要望書を提出したグループは署名活動を行っている。
コロナ不況で住まいを失う危険のある生活困窮者、路上生活者への緊急支援を求めます

※6月6日、弁護士と労働組合のグループが通話無料の電話相談会を開催する。
「コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守る なんでも電話相談会」0120-157930
受け付けは午前10時から午後10時まで。

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