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出光興産、赤字転落…昭和シェルとの経営統合に3年“空費”、構造改革進む海外勢に後れ

文=編集部

創業家の出光正和氏が非常勤取締役

 出光興産は15年、昭和シェル石油との経営統合を発表したが、創業家との対立で時間を空費した。外資系の昭和シェルとの統合で出光が民族系でなくなることを創業家は危惧したのだ。創業家からの取締役の受け入れや株主への大幅な利益還元が和解の条件となった。創業家から日章興産社長の出光正和社長が非常勤取締役として入った。創業家の顧問弁護士の久保原和也氏が社外取締役に就いた。

 昭和シェルとの経営統合で創業家の持ち株比率は低下した。日章興産は筆頭株主だが、持ち株比率は8.98%、公益財団法人出光文化福祉財団が4.10%、公益財団法人出光美術館が2.65%(19年9月末時点、自己株式は控除)に低下した。出光興産の配当金が、それぞれの事業の運営資金となる。

新ブランドに統一、創業家はアポロマークにこだわる

 19年4月にやっと経営統合にこぎつけたが、3年あまりの時間を空費した代償はあまりにも大きかった。この間、石油メジャーは構造改革を加速させた。英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルは液化天然ガス(LNG)や再生エネルギーが稼ぎ頭になった。出光興産は脱石油で周回遅れとなってしまった。

 新・出光にとってブラントの統一が最大の課題だが、創業家が出光のアポロマークにこだわっているため、全販売店が受け入れやすい新しいブランドを打ち出せなかった。なぜなら、18年7月に合意した統合条件で出光のアポロマークを残すことが盛り込まれたからである。人口減少と車離れ、化石燃料への逆風で国内の石油需要は40年に半減する見通しである。新時代にふさわしいブランド刷新することが急務なのに、21年から順次、全国約6400カ所の系列給油所すべてのマークを出光のアポロマークに手を加えたものにする方針だ。

 17年に2社が統合して生まれたJXTGエネルギーは「ENEOS」に統合して攻勢を強めている。出光は、合併した時点で新しいブランドを大々的に打ち出すことができなかったため、「勝負あった」(エネルギー担当のアナリスト)という厳しい指摘もある。

 対等の精神に基づき、統合会社の代表取締役には出光出身の月岡隆会長と木藤俊一社長、旧昭和シェル出身の亀岡剛副会長と岡田智典副社長が就いた。6月25日の株主総会で月岡、亀岡、岡田の3氏が退任する。代わりに、出光出身の松下敬副社長、丹生谷晋副社長が代表権を持つ。この結果、すべての代表取締役は出光出身者となる。

(文=編集部)

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