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日産、中堅社員の一斉流出が始まった…赤字6千億円超、内田社長では再建は絶望的

文=河村靖史/ジャーナリスト
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 今回の構造改革計画ではコスト削減効果には期待していない。発注量を増やしてコスト低減を迫るやり方を「反省している」(内田社長)という。生産能力削減で発注量が減少するなか、サプライヤーに無理なコスト低減を要求できず、収益改善の道筋は見えてこない。

 将来の成長にも不安が残る。NRPでは、工場閉鎖、人員削減など、大ナタを振るう一方で、将来に向けた種として米国にキャントン工場の新設を決定した。その後、日産の業績が回復する過程で米国での生産能力増強がうまく軌道に乗り、米国事業は日産の収益の柱となった。ところが今回の計画ではリストラ一辺倒で、将来の成長に向けた種は一切示されておらず、事業の縮小均衡は避けられない。重点市場に新型車を積極的に投入して商品ラインナップの若返りを図る計画だが、市場での販売競争は激化しており、新型車がヒットするとは限らない。

 日産の元幹部は「内田社長をはじめとする素人経営陣は自動車メーカーの経営改革の肝を理解していない。経営再建は無理」と断言する。内田社長は大手商社の日商岩井(現・双日)出身で、日産に入社したのは2003年。担当分野も購買部門が中心で、社長になる直前に中国合弁会社である東風日産(東風汽車)のトップを務め、業績は順調だったが、これは前任の関潤氏の功績を引き継いだだけ。そもそも社内では「日産のトップになぜ選ばれたのかわからない」との声が多くを占める。

 ナンバー2のアシュワニ・グプタCOOは、ホンダやルノー、三菱自動車など、自動車経験は長いものの「良くも悪くも日産のことをあまり知らないし、わかっていない」(販売会社)という。そして内田氏の2019年12月の社長就任と同時に、日産の副COOに就任したプロパーの関氏が経営トップの中で、最も日産を理解していたはずだが、副COO就任から約1カ月後には日産を去り、その後、日本電産の社長に就いた。

 経営トップとナンバー2がともに日産の経験が浅く、社内外の人望もない状況で、日産の成長戦略を期待することに無理がある。そして将来を悲観してなのか、年明けから、中堅クラスの社員などが相次いで日産を退職しているという。

「日産の実力は今の業績レベルではない」と述べた内田社長。短期間でルノー、三菱自動車との連携強化や、事業構造改革計画を策定したが、経営再建の道のりは険しい。

(文=河村靖史/ジャーナリスト)

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