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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

実は深刻な「砂糖依存症」…睡眠不足→ホルモンバランス崩壊→食欲異常の“負の連鎖”

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事
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「Getty Images」より

 東京高検検事長といえば検察のナンバー2というポジションで、検察トップである検事総長になる最有力候補と目されていた黒川弘務氏が、新聞記者らと賭けマージャンをしていた事実を認め辞職しました。

 日本の刑法ではギャンブルが禁じられていますが、まさか検事長の職にある者が、それを知らなかったはずはないでしょう。もちろん、知っていながらやっていたのです。しかも政府が新型インフルエンザ等特別措置法に基づき緊急事態宣言を発出し、国民に外出自粛等の取り組みへの協力を広く呼びかけていた期間に、です。法務省においても感染拡大防止のため、新型コロナウイルス感染症対策基本的対処方針が出され、いわゆる三密を避けるべきとされていた期間です。

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 ギャンブル(賭博)が刑法によって禁じられているとはいっても、競馬、競艇、競輪、オートレースなどは特例として認められています。これは戦後の復興財源を確保し、地域振興を図ることを目的に始められたものです。それから70年を経た今も、この状況を続けているわけですから、国自体がギャンブル依存に陥っているといわれても反論できないでしょう。宝くじも立派なギャンブルですし、パチンコももちろんギャンブルです。

 COVID(コビット)-19騒動のさなかでも、パチンコ店が営業を自粛するかどうかで物議を醸しましたが、そんななかでもパチンコ店が営業すると他県からもお客が殺到するという姿までさらしました。しかし、検事長もギャンブルをしていたわけだから、自粛しないで営業していたパチンコ店に列をつくる人たちを非難することもできませんね。

 ギャンブル依存症について厚生労働省の研究班は、日本には536万人の患者がいると発表しており、それは国民の4.8%にも上るとしています。そのうちの一人は、黒川氏なのかもしれません。海外のギャンブル依存症の比率は、米国1.6%、香港1.8%、韓国0.8%、スウェーデン0.7%ということですから、日本は諸外国に比べても依存症患者の比率は3~7倍もいるということです。

 すでに国会で可決成立している「カジノ法案(統合型リゾート整備推進法案)」が施行されて、2025年には日本初のカジノが横浜、大阪など国内3カ所でオープンすることになるわけですが、これでますます依存症患者が増えることでしょう。日本政府および、カジノ関係者は、国民がギャンブル依存症にならないための方策を数々打つと言っていますが、それはまったく無駄なことです。

 ギャンブル依存症という病気は、特定の精神的傾向を持つ人だけがかかるものではありません。誰でもギャンブル依存症になる可能性があります。そして恐ろしいのは、この病気にかかると、自分の意志の力で治癒に導くことが非常に困難である、ということです。自然治癒などあり得ないのです。きちんとしたプログラムに基づいて治療にあたる以外に更生の道はないわけです。すでに500万人以上いるギャンブル依存症の患者は、自分で気づくことなく新たなギャンブルであるカジノにのめり込むに違いありません。

睡眠時間と食欲の関係

 ちなみに、依存症という観点から言うと、ネット依存症の人は421万人、アルコール依存症は109万人もいるという調査結果もあります。これも深刻ですね。

 また、人数の調査が行われていないので、というか調査が不可能なので、どのくらいの人がかかっているのかわからないのですが、砂糖の依存症というのもあります。砂糖というよりは「糖分」もしくは「甘いもの」依存症というべきなのかもしれません。ここには他人への依存心、甘えという心理も深くかかわっているため複雑で、しかも抜け出すのが難しいことも事実です。何かことあるたびに甘いものが食べたくて我慢できなくなってしまうという人は、意外と多いのです。

 そして必ず、その人なりの言い訳が用意されていることも特徴です。それは、自分を甘やかしていることにほかならないのですが、本人はそれとは気づかず、正当な理由だと信じ切っています。

 筆者が警鐘を鳴らし続けてきた「白い悪魔の三兄弟」、つまり白い砂糖、白い米、白い小麦粉への依存も根深いものがあります。

 さらにその依存が進むと、常に食欲に異常をきたし、過食と拒食を繰り返してしまうというように、医療機関の助けが必要な状況に陥ってしまうことがありますが、これも当初は一種の依存症であると考えるべきでしょう。ここには「レプチン」と「グレリン」という2つのホルモンのバランスの乱れということも関係しています。

 レプチンは食欲抑制作用を持ち、グレリンは逆に食欲増進作用があります。当然、どちらのホルモンも健康面では不可欠のものですが、バランスを崩してしまうと面倒なことがおきます。

 この2つのホルモンが正常に働くために必要なのが「睡眠」です。私たちの体は、睡眠時間が短くなるとグレリンの量が増え、結果的に食欲が増します。適正な睡眠時間は、人によっても、また年齢によっても、運動量によっても変わってくるので、差があるのは当たり前ですが、自分にとっての適正な睡眠時間は自分で決めるしかないのです。

 筆者は以前、5時間から5時間半程度が適正な睡眠時間だったのですが、最近は7時間くらい寝るようになりました。これは自然とそうなっていって、気が付いたら7時間くらいで落ち着いていた、ということなのですが、この適正時間がいつまで続くのかはわかりません。数年後には睡眠時間はさらに長くなっているのかもしれませんし、もしかしたら以前のように短くなるのかもしれません。

 そして今現在わかったことは、何かの理由があって睡眠時間が短かった時は、確かに食欲が増すということです。筆者は長年にわたって朝食は果物だけにしていて、それでランチまで十分に持つのですが、睡眠時間が短い日は、果物を食べた後1時間くらいで空腹を感じていることに気づきました。運動量などは特に変わっていないので、グレリンの働きなのだろうと理解しています。そのような時は、もう少し果物を食べることもありますし、ランチを早めることもあります。

 睡眠時間の変化によって食欲の度合いが変わることは身を持って体験したのですが、だからといって毎日毎日を規則正しく、睡眠時間もきっちり守って、食事の時間もしっかり守って、決めた通りのスケジュールをこなすということが性に合わないため、日によって睡眠時間が変わることや、食事の時間帯も変わること、労働時間が変わること、その内容が変わることもよしとして暮らしています。

 これからの時代は、健康であることが、これまで以上に重要になります。生活習慣病(基礎疾患)とは無縁の日々を送るために、また高い免疫力を維持し続けるためには、日々の食事が大切であることは言うまでもありません。そのためには「レプチン」と「グレリン」が正常に分泌されるようなライフスタイルも大事ということになるでしょう。加えて、食事が、筆者の提唱する「オプティマルフードピラミッド」に則っていることも大事な要素になります。

 さて、件の黒川氏の処分が、あまりにも甘いのではないかという批判が出ていますが、筆者もその通りだと思っています。これは法務省全体が相互依存症にかかっているためでしょう。その依存症は法務省だけにとどまらず、国全体に蔓延していると思われます。これはCOVID-19よりずっと恐ろしい感染症です。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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