雇用の維持をはかりたいワタミと、「巣ごもり」消費で来店客が急増し、人手が足りないロピアの思惑が一致した。契約は1カ月だが、居酒屋の休業が続いた場合は1カ月ごとに契約を更新することにした。

人材派遣会社を買収し、休業社員を小売店や農家に派遣

 続く5月20日、人材派遣事業に参入すると発表した。東証マザーズ上場のITコンサルティング会社ITbookホールディングス傘下の人材派遣会社、i-NEXT(大阪市)を買収。ワタミエージェントに衣替えした。買収金額は非公表。大手居酒屋チェーンが自前の人材派遣会社を立ち上げるのは珍しい。

 6月から全国のスーパーや農業、介護施設にワタミの社員を派遣する。休業店舗の正社員約780人とアルバイト約1万人のうち、希望する人が対象。派遣先が決まれば、ワタミエージェントが派遣先企業との契約に応じて給与を支払う。ワタミの正社員は派遣社員になった後も雇用契約を維持するため、休業手当は支給される、という。

 今期、65店舗を閉店する。その一方で、唐揚げとたまご焼きの店「から揚げの天才」を7月までに24店出店する。テイクアウト比率が90%という新しい業態の店で、「巣ごもり」需要の高まりに対応する。

 新型コロナ感染の収束が見通せないなか、他業種へスタッフを派遣して雇用維持につなげる。テイクアウト主体の店を出し、軌道に乗れば、さらに出店を増やす構えだ。雇用を維持するという枠組みは整った。次は、コロナ後の、本格的なビジネスモデルの構築だ。外出自粛が解除されても、すぐに客足が戻ってくるわけではない。コロナ禍は長期に及ぶ。外食企業はデリバリーや持ち帰りサービスに力を入れているが、あくまで一時的なつなぎでしかない。

 ポスト・コロナ時代、いやwith・コロナ時代の成長戦略をどう描くのか。渡邉氏の才覚の見せどころである。

(文=編集部)

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