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貯金はいくらあるべき?ケガや病気への備えは「生活費6カ月分」、老後資金は3千万円

文=藤村紀美子/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会
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「Getty Images」より

 現在、世の中は新型コロナウイルスにより、国家も個人も恐怖と不安に襲われています。その上、仕事を失ったり、休業に追い込まれたりして経済的にも苦境に立たされている方が多いと思います。

 身体、生命の心配は国や医師に任せるとして、個人がコントロールできる家計について、生活の心配をしなくて済むためにはどのくらいの貯蓄があればよいのでしょう。

 筆者が関与している裁判に立ち会っていると、貯金を持たず、借金をしているのに驚くことが、たびたびあります。

 人によって“最低限の生活費”は異なりますが、それぞれの家庭の最低限の生活費の6カ月分の備えがあれば、一家の大黒柱が病気やケガをして入院しても生活していけるでしょう。事故の記事を見ても入院期間は最長「全治3カ月」で、それ以上の期間を目にすることはめったにありません。3カ月間治療を受け、その後リハビリをしても、6カ月後には復職できるのでしょう。

 また、健康保険協会の現金給付支給期間の平均は約5カ月半となっているので、やはり半年あれば回復して復職できるのでしょう。20代の若い方では、9割以上が30日以内の入院で済むようです。従って、それぞれの家庭の生活費の6カ月分の貯蓄があれば一安心ということでしょう。

 その他の備えとして、2~3年以内に使用する資金(教育資金、住宅資金等)を、希望に合わせて用意しておけば、なお安心でしょう。学校は公立にするか、私立にするか。住宅はすでにあるか、無いかによって、必要額は異なります。

 我々の生活には、さまざまなリスクがあります。死亡、病気、怪我、解雇、老後、介護、事故(火災、盗難、交通)等、いつでも誰にでも起こりうるリスク(一般的リスク)と、自分が選択した行動に伴って生じるリスク、転職などの選択的リスクがあります。

 一般的リスクについては生命保険、損害保険等の各種保険があるので、それらの保険を利用して自分のニーズに合わせて必要な保険に加入するとよいでしょう。たとえば、一家の大黒柱の死に対しては、残される妻の寿命まで、子供たちの独立までの必要資金を計算し、必要額に合わせた生命保険に加入しておけば、安心でしょう。

 老後資金に関しては 厚生労働省が試算した老後生活費の不足分2000万円(60歳以上の世帯の平均貯蓄額は約2300万円、中央値は1500万円)に加えて、介護費、入院費、修繕費等の臨時出費(介護費、入院費は必要のない方もいるため、大まかに1000~1500万円)を準備しておけばよいでしょう。

「1カ月の収入が余ったら貯蓄しよう」と考えていたら、いつになっても貯蓄はできません。月給をもらったら、まず月給から一定の金額を天引きして貯蓄し、残った金額で生活するようにしましょう。会社勤めをしている方で以下のような制度が会社にある方は、毎月財形貯蓄や企業型確定拠出年金(DC)等で給料から少しずつ積み立てると有利です。

・確定拠出年金

(1)拠出した掛け金、全額が所得控除できます。

(2)運用益が非課税になります。

(3)受取方法が「年金」の場合は公的年金控除、「一時金」の場合は退職所得控除が受けられます。

 お勤めの会社に上記のような制度がない場合は、個人で「つみたてNISA」や「個人型確定拠出年金(iDeCo)」に加入するのがお勧めです。

 いざという時のために、現在の生活をあまり犠牲にせず、まずは6カ月分の生活費を貯めるとともに、必要な保険に加入し、その後は給料から天引きでコツコツと貯めていくといいでしょう。

(文=藤村紀美子/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会)

藤村紀美子/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会

藤村紀美子/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会

(立教大学ドイツ文学科)卒業後研究室で副手を1年務め結婚。女児2人を出産し、下の子が3歳になったときに(中央大学法学部)に学士入学。法律の面白さに惹かれ、卒業後も勉強を続ける。宅建とFP試験に合格(CFP、宅地建物取引士)。その直後夫の赴任に伴いアメリカに約8年居住。帰国後FPとして働き始める。講演、相談、執筆を行う。その間、簡易裁判所、家庭裁判所で調停委員、参与員、司法委員を定年まで勤める。
著書:「100歳まで安心して暮らす生活設計」(共著)、「どっちがお得?定年後のお金」(共著) ‘高齢期のお金を考える会’メンバー。高齢者施設を多数見学し、高齢者施設の種類、内容、注意点、選び方等を勉強する。

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