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松岡久蔵「空気を読んでる場合じゃない」

小池百合子知事の学歴詐称疑惑を記者会見で追及しない「都庁記者クラブ」の異常さ

文=松岡久蔵/ジャーナリスト
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「一人一問だと司会も言ってないのに、畠山さんの質問をこわばった形相で打ち切りました。実は、畠山さんが指されたかどうか怪しくて、背後に座っていた小池氏にべったりのフジテレビを当てようとしていたんじゃないかとの指摘も出ています(笑)。実際、畠山氏の直後に小池氏がすがるようにフジテレビを指名し、『これまでの4年間の都政を一言や四文字熟語で表すと?』という平和な質問に答えていました。もともと予定調和で質問してくれと頼んでいたようにしか思えませんでした」

 この記者によると、会場には夕刊紙記者やフリーランスもおり、自由に参加を認められたという。ただ、小池氏が質問者を指名する以上、不利な質問をしそうな記者よりも、普段からなじみがあり「再選間違いなしの小池氏」に逆らわない都庁クラブメディアの記者を当てるのは当然の流れだ。

知る権利を侵害する記者クラブ

 冒頭の全国紙政治部記者の言う通り、確かに学歴詐称疑惑を追及することは、もはや不可能に近くなったのは間違いない。ただ、卒業証書も堂々と示せない人間が、首都大学東京をはじめとする教育行政のトップに君臨するのは、「嘘でごまかして出世しなさい」という悪いジョークとしかいいようがない。そこに少しでも異を唱えないのは、黙認していると言われても仕方ないだろう。

 安倍晋三首相や菅義偉官房長官会見と同様、日本の記者クラブの予定調和っぷりは海外メディアでも笑い種になっている。事前通告しかり、好意的な記者しか質問指名されないことしかり。「週刊文春」(文藝春秋)をはじめとする雑誌やフリーランスに「権力者から嫌われる汚れ仕事」を押し付け、後追いすることが常態化した今、記者クラブの存在意義はもはやない。

 東京新聞の望月衣塑子記者は菅長官に空気を読まない質問をすることで有名だが、「彼女も政治部ではなく社会部の所属で、官邸クラブの常駐記者でないから暴れられる」(官邸クラブ所属記者)という理由もある。逆にいえば、それぞれの記者クラブというムラがなくなれば、かなり自由な質問ができるということだ。

 小池氏を作り上げたのが、オッサン中心の記者クラブメディアだったという点も石井氏の『女帝』で指摘されているが、読者の知る権利を侵害する記者クラブ解体の議論はもっと盛り上がっていいだろう。

(文=松岡久蔵/ジャーナリスト)

小池百合子知事の学歴詐称疑惑を記者会見で追及しない「都庁記者クラブ」の異常さの画像2

●松岡 久蔵(まつおか きゅうぞう)
Kyuzo Matsuoka
ジャーナリスト
地方紙勤務を経てフリーに。マスコミの経営問題や雇用、農林水産業など幅広い分野をカバー。特技は相撲の猫じゃらし。現代ビジネスや東洋経済オンラインなどにも寄稿している。ツイッターアカウントは @kyuzo_matsuoka

ホームページはhttp://kyuzo-matsuoka.com/

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