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吉澤恵理「薬剤師の視点で社会を斬る」

河野太郎大臣「アトピーにはステロイド」発言が波紋…“おかしな療法”に注意喚起

文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
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 治療の際に、強いステロイドに対し不安を抱く患者もいるが、その薬を使うのは治療上の意味があるためで、医師の指示に従うことが必要だと言う。

「ステロイドは弱いものを長期間処方するよりも、むしろ強めのもので短期間に効果を得て、徐々にレベルダウンしていくと、結果的に使用量が少なく済みます」

 しかし、症状が改善したからといって自己判断による中止は悪化を招く恐れもある。

「“ステロイドの使用を止めるとリバウンドがある”というのは、完全なウソではありませんが、だからこそリバウンドが出ないよう、徐々にレベルダウンしていきます。ステロイドを適切に使用しないと、慢性的な湿疹が悪化して取り返しのつかないことになります。ご自身で判断するのは絶対に避けて、皮膚科の専門医に必ず相談してください」

ステロイドの強さと正しい使用量

 前述したように、強いステロイドに抵抗を示す患者がいるが、ステロイドの強さを使い分けることには意味がある。ステロイド外用剤は、5段階の強さに分類することができ、「使用する部位・皮膚の薄さ」によって適するステロイドの強さは異なる。そのため、患部と症状によってステロイドの強さも適正に使い分けることが必要である。

 また、使用量も重要だ。ワンフィンガーチップユニット(1FTU)と呼ばれる単位がある。これは、大人の人差し指の先から第一関節まで薬を乗せた量で、チューブタイプの軟膏やクリームでは、1FTUは約0.5グラムに相当する。この1FTUは、大人の手のひら2枚分の面積(体表面積の約2%)に塗るのに適した分量の目安といわれる。

ステロイドの副作用

 ステロイドを怖い薬という背景には、副作用についての誤った認識もある。なかには、ステロイドの使用に伴い肌が黒くなるといった話を信じている人が少なくない。だが実際には、炎症が続くことなどで色素沈着を起こすのであり、ステロイドで肌が黒くなるわけではない。皮膚炎が悪化したり長期化すれば色素沈着が起きやすく、回復には時間がかかる。ステロイドを正しく使い、早期に治療するほうが肌をきれいに保つことにつながるといえる。

 ステロイドは、正しく使用すれば安全で有効な薬である。根強く残るステロイドバッシングに惑わされないことを願う。
(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)

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吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

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