NEW

在日クルド人ヘイトクライム抗議デモに在日クルド協会が関与否定の異例声明…「偏見助長」

文=編集部

在日クルド人組織を無視する日本のマスコミ

 同協会は在日クルド人組織として最も組織化されている団体だ。その団体にメディアが取材をしていないということはどういうことなのか。クルド人でつくる日本クルド文化協会の母体であり、日本クルド友好議員連盟の事務局も務める一般社団法人日本クルド友好協会事務局の担当者は次のように語る。

「警察の職務質問はクルド人でなくても、日本人も受けます。今回、クルド人の男性が法律違反を犯したことは紛れもない事実です。

 文化協会も友好協会も、ともに在日クルド人に日本国内のルールを守るよう指導してきました。郷に入っては郷に従えというのは国際社会の常識です。クルド人は残念ながら出身国でさまざまな抑圧を受けていたこともあり、高等教育を受けていない人も多いので、日本の法律に触れないように行動することや、『ゴミを路上に捨てない』『夜中に大騒ぎをしない』など社会的なルールを教えてきました。政治的な弾圧から逃れてきて、民族自決のために支援を受ける立場だからこそ、この国の人々から信頼を得なければなりません。

 クルド人は大きく分けてトルコ、シリア、イラク、イランに広く分布している、“国家を持たない世界最大の民族”です。それぞれの出身国で政治の状況が異なるので、クルド人同士のイデオロギーの対立もあります。そうした対立を超えて、しっかりとしたコミュニティをつくる必要があります。

 日本の入管のクルド難民の取り扱いなどに関して問題がないとは言えません。ただ政府がやるべきことと、自治体や警察がやるべきことは違うと思っています。今回、この声明を発表したことでデモの主催者団体からは、『協会がクルド人に無理やり声明を書かせた』とのクレームがきましたが、これは日本にいるクルド人の率直な思いです。

 今回、日本の大手マスコミは一社として取材にきていません。正直、異様だと思います。今週、CNNが取材をするという連絡を頂いていますが、非常に残念です」

 一般的に人種差別や民族差別などのヘイトクライムが疑われる事案が発生した際、当人やその支援者だけでなく、在外公館や民族を代表する組織などに取材をして複数の見解を紹介するのが取材時のマナーだ。警察官が不当な暴力を振るうことは許されない。だからこそ今回の事案がヘイトクライムだったのか、そうではなかったのか、また偏見を助長しているものはなにかも含め、多角的な検証が必要だろう。

(文=編集部)

 

情報提供はこちら
RANKING
  • ジャーナリズム
  • ビジネス
  • 総合