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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」(最終回)

コロナが落ち着き、“ノスタルジック消費”が主流に…過去の良い体験への渇望がよぎる

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季
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新たなマーケティングの世界で求められる企業の柔軟性

 しかし、当然企業はノスタルジック消費向けだけに商品を提案すればいいものではない。

「世界中で共有された新たな生活様式は、ある程度の時間を要しながらも社会に浸透していくでしょう。しかし、個々人の記憶の中には“かつての世界のほうが楽しかった”という思い出が多く、新たな世界観のすべてを“良い変化”として受け入れることに抵抗がある人も多く存在するのではないでしょうか。そうしたなかでの企業のマーケティング活動は、過去の良さを強調するものと、新たな価値観のなかで提案するものの双方が混在、並立する時期がしばらくの間は続くことが予想されます」(同)

 では、企業はそんな二極のニーズにどう対応していくべきか。

「各企業が提供できる製品やサービスの特徴をしっかりと見据えたうえで、どちらのニーズに応えるものを提供するのか、明確な方針を持ってマーケティングを柔軟に展開しなくてはいけないと思います。これはマーケティング的には非常に難しく、今まで以上に深い模索が必要です。しかし、考えることを放棄せずに積み上げる努力をして、企業の方々には新しいマーケティングを切り拓いていってもらいたいですね」(同)

 これまでの常識が通用しない世界になったとしたら、企業もその常識にとらわれないものの考え方が必須となってくる。これからのビジネスパーソンは今まで以上に頭を柔らかくして、来たるべきマーケティングの新世界を迎えなくてはいけないのだ。

 (解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季)

 本連載は今回で終了します。5年にわたる長期間のご愛読に感謝いたします。ありがとうございました。(有馬賢治)

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