元凶は自粛要請と非常事態宣言

10万円給付金、あまりの遅さに怒りのデモ「今すぐ配れ」…首相私邸前でシュプレヒコールの画像1

 コロナ大不況が弱者を直撃しているのは、コロナウイルスという自然によるものだけでなく、少なくとも日本では人災の側面が大きい。

 第1に「補償なき休業」。この政策により殺された(自殺した)人が何人もいる。

 第2に4月7日に発せられた緊急事態宣言。続く対象地域の全国への拡大。そして5月4日の期間延長。

 第3に、2番目と連動した「接触機会の8割削減」である。

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 ここで重要なのは、感染ピークは3月27日だったこと。その時点と同じ条件が続けば感染はゼロに近づいていくため、4月7日の緊急事態宣言は意味がなかった。感染して2週間から3週間後にPCR検査で陽性が判明する。ということは、4月中旬くらいまでには感染数のピークが3月27日だと判明していたのである。

 百歩譲って4月7日の緊急事態宣言発出はやむを得なかったとしても、ピークアウトしているとわかった時点で、ただちに方針を転換すべきだったろう。3月末にピークが来ていていると明らかになってもなお、緊急事態を解除するどころか延長したことで、膨大な人々の生活が破壊されたのだ。

 専門家委員会の委員も政府も、今に至るまで、この点について釈明も謝罪もしていない。

“コロナ人災被害者”たちが「安倍ヤメロ」と叫ぶ

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 これまで5回にわたって「補償しろデモ」に集まってきた人々は、「コロナ人災被害者」と言える。渋谷・ハチ公前広場からの出発した約70人の参加者は、渋谷の繁華街を通過して神山街、富ヶ谷、松濤の高級住宅地を練り歩いた。

 一般的にデモは繁華街の表通りを歩くものだが、狭い道の住宅街デモは妙な訴求力がある。デモコースの中盤は4~5階建ての中層マンションが多く、その窓やベランダからデモを眺める人が多かった。

 富ヶ谷一丁目に差し掛かると、すぐ近くにある安倍晋三首相私邸に首相本人が滞在している、という情報がデモ隊の中に飛び込んできた。

写真の右側に安倍首相私邸がある。ここで「安倍ヤメロ!」の声が沸き起こった
写真の右側に安倍首相私邸がある。ここで「安倍ヤメロ!」の声が沸き起こった

 すると、「補償しろ」と言ってきた参加者たちは一斉に「安倍ヤメロ」コールに切り替え、大きなシュプレヒコールが沸き起こった。安倍首相私邸近くでは警察官が阻止戦を張って、通行できないようにしていた。呼びかけ人のヒミコさんは、そのバリケードに向かって安倍首相私邸の方向に歩みを進め、阻止しようとした警察官と対峙した。

 コロナ以前から苦しい生活を強いられて、これ以上、一歩も下がれないところまで追い込まれた人たちの思いが現れたデモである。出発前に主催者のヒミコさんはこう言っていた。

「生き残るためには闘わなければならないと思います」


(文=林克明/ジャーナリスト)

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