ビジネスパーソン向け人気連載|ビジネスジャーナル/Business Journal
おまけに、それによって相手がどんな気持ちになるかを認識していなかったようで、3)共感の欠如も認められる。今回、不倫相手の女性が告発したのは、性欲処理の道具として扱われたことで傷つき、反感と怒りを覚えたからだろうが、それに全然気づかなかったのではないか。
自己愛性パーソナリティ障害に拍車をかけた2つの要因
以上のことから、渡部さんは自己愛性パーソナリティ障害である可能性が高い。しかも、2つの要因がそれに拍車をかけた。1つは、売れっ子だったこと、もう1つは佐々木希さんと結婚したことである。
まず、渡部さんは、テレビとラジオを合わせて10本ものレギュラー番組を持ち、所属事務所である「プロダクション人力舎」の“王子様”とも呼ばれたほどの売れっ子だった。そのため、相方を含めて誰も注意できず、少々暴走しても許容されてきたのだろう。
さらに、「世界で最も美しい顔100人」にもランクインしたほどの美貌の持ち主である佐々木さんと2017年に結婚したことも大きい。絶世の美女を射止めたことによって、自分自身が底上げされて偉くなったように思い込み、それが特権意識、さらには自己の重要性に関する誇大な感覚を強化したのではないか。その意味では、皮肉なことに佐々木さんとの結婚が渡部さんの乱倫に拍車をかけたともいえる。
(文=片田珠美/精神科医)