NEW
たかぎこういち「“イケてる大先輩”が一刀両断」

なぜ世界最大アパレルだったレナウンは倒産したのか?“頭脳&変化なき”放漫経営の末路

文=たかぎこういち/タカギ&アソシエイツ代表、東京モード学園講師
【この記事のキーワード】, ,

 09年に子会社アクアスキュータム売却を含む大型リストラと資産売却を発表。そして縁ができたのが中国・山東如意科技集団だった。10年と13年に山東如意は第三者割増の引受先となりレナウンを連結子会社化。そのネットワークを活用して中国で1000店の出店計画を発表したが、実際には100店舗前後にとどまり、山東如意には小売りの経験がなかったこともあり、良いロケーション確保もままならず赤字のため撤退となった。弱者同士の連合は、なんら結果を残せなかった。

 23年度が最終年度の中期計画では、基幹3ブランドの売上を1.5倍にすると発表したが、まったく根拠のない妄想である。昨年は希望退職者を募集しながらも中止となった。そして兄弟会社の焦げ付き。親会社からの未回収、人事の混乱。53億円の未回収金が発生したことで退職金の原資不足となり、希望退職者募集が中止になったともいわれている。

 一番の被害者は社員である。今回の倒産も社員は報道で知った。905人の正社員、3040人の嘱託従業員、503人の臨時従業員がいるとされる。家族も含むと、どれだけの人たちが将来の不安に怯えて毎日を過ごしていることであろうか。経営陣を非難してもなんの解決にもつながらない。これを他山の石として、企業は厳しい時代を生き抜く方法を模索しなくてはいけない。

2.まとめ

 コロナ禍は日本経済社会の底流で長く淀んでいた問題を、一気に表面化させた。長きにわたり将来のヴィジョンを明確に示せず変化できなかったレナウン。これはほかの歴史ある名門企業、日本政府も同一である。稟議制度と呼ぶ無責任体制、年功序列、取引先との仲間意識、危機感の欠如――。

 今回のコロナ禍を契機に、多くの企業が素早い対応の重要さを認識したはずだ。幸いにも現在、日本の上場企業の内部留保は約460兆円、個人資産は1800兆円、政府の対外資産残高1018兆円と、増加傾向にある。純対外資産残高は世界一である。日本経済には、まだまだ生かされていない再生のための材料が存在する。

 変化の目まぐるしい世界の中で、過去の成功体験を生かす機会はもうないことを、レナウン倒産から我々は学ばなければならない。

(文=たかぎこういち/タカギ&アソシエイツ代表、東京モード学園講師)

情報提供はこちら

RANKING

17:30更新
  • 連載
  • ビジネス
  • 総合