ビートたけし、とんねるず、笑点…みんなテレビで政治の話をしていた90年代までの日本の画像1
2019(平成31)年4月11日、東京都千代田区の国立劇場にて開催された天皇陛下御即位30年奉祝感謝の集いにおいて、祝辞を述べるビートたけしこと北野武。右には同席した安倍晋三首相の顔も見える(写真:AFP/アフロ)

「芸能界において政治的発言はタブーである」
「芸能人が政治について語る際はリスクを伴う」

 昨今、メディアの記事でもSNSでも、それが日本の芸能界における昔からの常識かのように語られているケースが目立つ。

 特に政権を批判することは、芸能界を干されても仕方のないNG行動かのような論調もある。2020年5月9日からの数日間、小泉今日子きゃりーぱみゅぱみゅら多数の芸能人がTwitter上で検察庁法改正に反対の姿勢を示した際もまたしかりだった。

 だが、果たして本当に昔からそうだったのだろうか? 

 結論から先に述べれば、答えは「NO」である。少なくともインターネット普及前の90年代までは、芸能人が政治に触れることは、タブー視されていなかった。お笑い芸人が政治家や権力者を風刺の対象にすることが、テレビの辛口司会者が、「お上は~」「どこかの国の総理大臣が~」「今の政治家は~」と政治について批判的に発言することが決して珍しくなかったことは、40代後半以上の方ならご記憶のはずである。

たけしのラジオ番組は度々政治を笑いのネタに

 現在、その名残がある数少ない番組に『笑点』(日本テレビ系)がある。その古参大喜利メンバーである三遊亭円楽は、今も時折、政権をチクリとやるネタを披露している。それに対し、「『笑点』に政治を持ち込むなんてがっかり」といった発言がSNS上で見られる。しかし、『笑点』では1966年の番組開始当初から政治風刺ネタが当たり前のように展開されていた。50年以上前から政治が持ち込まれていたのである。

 1981年から1990年まで放送されていたラジオの超人気番組『ビートたけしのオールナイトニッポン』(ニッポン放送系)は、毎年のように番組内容を抜粋した単行本をリリースしていた。今、それらを確認すると、同番組内の投稿コーナーでは頻繁に政界を笑いのタネにしていたことがわかる。

 現在も、安倍晋三、麻生太郎ら政治家のそっくりの扮装をして皮肉たっぷりのコントを十八番とする「ザ・ニュースペーパー」というコント集団がいる。今はテレビで見かける機会はめったにない彼らも、90年代には『上岡龍太郎にはダマされないぞ!』(フジテレビ系)というバラエティ番組にレギュラー出演し、毎週、政治ネタのコントを披露していた。

とんねるずがコントで政治に踏み込んでいた

 1994年4月から木曜21時という枠で約半年間放送されていた『ラスタとんねるず’94』(フジテレビ系)というバラエティ番組があった。従来の『とんねるずのみなさんのおかげです』と異なるスタッフにより制作された同番組内には、今では考えられないが、政界を揶揄するコントのコーナーがあった。

 当時、細川護熙(日本新党)→羽田孜(新生党)→村山富市(日本社会党)と短期間で入れ替わった歴代総理大臣や、政界の黒幕として認識されていた小沢一郎、自民党総裁の河野洋平、さらにはアメリカのクリントン大統領などにそっくりの人形が登場し、石橋貴明、木梨憲武と絡んでいたのだ。小沢一郎そっくり人形が、「日本の政治を動かすなんて、俺にとっては簡単なことさ」と豪語することもあった。だが、インターネット普及前の当時、「バラエティに政治を持ち込むな」「ファンだったのにがっかりした」と、とんねるずが批判の矢面に立つことはなかった。

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