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収入激減のタクシー業界から“逃げ出す”運転手が続出…東京五輪中止なら年収300万円台に?

文=前川佳樹/ライター兼タクシードライバー
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 同時に、休業したドライバーへは国の雇用調整助成金を活用しての賃金保証がなされた。結果、4月中旬から5月中旬まで都心のタクシー需給バランスは多少改善し、出勤した乗務員は乗客を見つけられない絶望感から解放された。休業した乗務員は、ウイルス感染のリスクと乗客が少ない状況での労働を回避することができた。

 しかし、タクシー台数が2分の1になっても乗客数は約3分の1のままなので、トータルで3分の2ほどの売り上げとなり、厳しいことには変わりはなかった。5月下旬に入ると、緊急事態宣言解除から多少の需要回復が見られた。ただし、6月中旬以降は多くのタクシー会社が休業明けとなり、街のタクシー台数が一気に増える見通しだ。

 こうなると、再び供給過多となったタクシーにより、多くのドライバーが売り上げ減に苦しむ状況となるのは間違いない。特に深夜ともなると、相変わらずの自粛ムードから需給バランスは大きく崩れたままだ。乗客を探すのも一苦労なので、疲労度も以前より圧倒的に高く、その割に賃金は減少する状況が継続するだろう。

休業手当の金額は会社によって違う現実

 東京や大阪などの大都市圏の場合、一家の大黒柱として家族を養うドライバーも多い。大都市圏のタクシー会社は、倒産やリストラなどで職を失った労働者の再就職先として、長らく雇用の受け皿となってきた歴史があるからだ。

 そんななか、月給換算で40万円以上の総支給額が、売り上げ激減と休業により20~25万円に落ち込んでしまった。しかし、厚生年金や社会保険、住民税などは昨年度の収入で決定されるので、控除される金額はさほど変わらない。

 今まで総支給額40万円から10万円控除されて手取り月収30万円を得ていたドライバーの総支給額が20万円に減収したとすると、約9万円控除されて手取り月収が11万円前後となり、手取り20万円近い減収となるケースが現実に起きている。

 国からの雇用調整助成金は、あくまで会社に支払われる。ドライバーに支給される休業手当は最低でも過去の平均賃金の6割とされているが、実際の金額は会社によってまちまちであり、休業手当を出し渋る会社に所属するドライバーの場合、手取り給与が1桁に落ち込んだケースも実際にあった。

 手取り1桁から10万円台の収入では、家庭を持ち、高い生活コストに対応すべくがんばっていても、住宅ローンや家賃を払ってしまうといくらも残らない。緊急小口資金などの借り入れでなんとかしのいでいるドライバーも多いが、法人ドライバーに対する給付金は全国民対象の10万円のみとなり、困窮度合いには見合わない。今後もコロナ禍が継続すれば、焼け石に水のレベルだろう。

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