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『M 愛すべき人がいて』業界関係者が語る田中みな実らの過剰演出の本当のワケ

文=藤原三星
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テレビ朝日系にて毎週土曜夜に放送中のドラマ『M 愛すべき人がいて』公式サイト

 緊急事態宣言が解除され、撮影を再開する現場が増えつつあるドラマ業界。コロナ禍で撮影が止まりしばらく放送休止に追い込まれていた連ドラが多いなか、先んじて放送を再開したのが『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日系)だ。

 本作は浜崎あゆみの半生を描いた原作小説をもとに、人気放送作家の鈴木おさむが脚本を担当。この原作は、浜崎あゆみをデビューさせ、カリスマ的存在にまで大ブレイクさせたエイベックスの創設者・松浦勝人氏が、実は浜崎あゆみのプロデューサーだけではなく恋人でもあった、ということを初めて明かしたことで話題になった。

 いざドラマが始まると、「90年代の描写がヤバすぎる」「大映ドラマ的なノリが最高」「アユ役の安斉かれんの棒読みがすごいけど、それもアユっぽい」など、SNS上では最初から大盛り上がり。1カ月ぶりの再開はどのような評価だったのか。あるテレビ誌の記者は次のように語る。

「1カ月ぶりの再開となった第4話は視聴率が4.5%と、前回より0.1%の微増。オンエアが止まっている間もABEMA(4月にAbemaTVより改称)で全話がアーカイブされていたり、伊集院光と古市憲寿による副音声リミックスバージョンも見られたことなどが功を奏し、視聴者が離れなかったという印象です。

 久々に見た第4話でも大映ドラマのノリは健在で、とくに秘書役の田中みな実さん演じる、眼帯姿の秘書・礼香の暴走ぶりがより激しくなっていて、ドラマを引っかき回していました。また、礼香がなぜ眼帯姿になったのかについても今回初めて描かれていて、ネットでは大盛り上がり。ちなみに、礼香が主演のスピンオフドラマ『L 礼香の真実』もABEMAでオンエア予定なので、まだ謎が隠されているのかもしれません」

スマホ視聴の増加で過剰な演出を意識したドラマ『M』

 確かに本作では、これでもかと畳み掛けられるオーバーな演出や意味不明の効果音、誇張しすぎのキャラクター造形など、往年の大映ドラマ『スチュワーデス物語』や『スクール☆ウォーズ』を彷彿とさせるシーンが散見される。さながら“令和の時代によみがえった大映ドラマ”といった仕上がりである。

「もちろん、眼帯姿の秘書がアユの足を引っ張りまくるエピソードなど原作には存在しないのですが、そこは鈴木おさむさんならではの脚色。以前、おさむさんは『奪い愛、冬』(2017年、テレビ朝日系)、『奪い愛、夏』(2019年、AbemaTV)という過剰にドロドロしまくった“ドロキュン恋愛ドラマ”を手掛け、ヒットさせました。

 今やスマホでドラマを見る視聴者が多くなり、大型画面のテレビと比べるとどうしても集中力が続かなかったり、ながら見が多い。そのため、よりわかりやすくより過剰な作風がウケるということを意識しているんだと思います。今回の『M 愛すべき人がいて』もテレビ朝日とABEMAの合同制作ですし、スマホ視聴者を取り込むべく、原作のストーリーは生かしつつ、ドロキュン恋愛ドラマの手法を入れ込んだのでしょう。

 もちろん、『松浦氏と浜崎あゆみのラブストーリーをそのまま真面目に映像化してもキツイ』という判断もあったかとは思います。なので、こういう“見ながらツッコミまくれるドラマ”に舵を切ったんでしょうね」(前出の某テレビ誌記者)

お蔵入りになった松浦勝人氏の「偽装離婚で税金逃れ」の自伝本

 松浦勝人氏といえば、「偽装離婚で税金逃れ」を告白した自伝本が幻冬舎から出版される予定だったが、頓挫したという「週刊文春」の報道もあったばかり。この本を手掛けた幻冬舎の有名編集者・箕輪厚介氏が担当ライターの女性に不倫関係を迫ったという報道も同時に飛び出し一躍話題となったことも記憶に新しいが、ある週刊誌の記者は次のように語る。

「箕輪氏からセクハラを受けていた担当ライターの告発によって松浦さんの自伝本の存在が明るみになりましたが、ここまでミソがついてしまったこの自伝本が今後世に出ることはまずないでしょう。内容が内容だけに、『M 愛すべき人がいて』以上に反響があった可能性が高く、非常にもったいないですよね。

 原作の『M 愛すべき人がいて』は単行本が16万部のセールスを記録しましたが、シングル・アルバムの総売り上げ枚数が5000万枚を突破している浜崎あゆみの半生を描いているという点から考えれば、数字的には少々物足りない。そもそも、この小説が生まれるきっかけとなった会食に、ABEMAを手がけるサイバーエージェント社長の藤田晋さんが同席しており、そこから幻冬舎の見城さんに話が行って出版されるに至った、という経緯があり、藤田さんや見城さんにはまだまだ原作本を売り伸ばしたいという思いは強いでしょう。

 今のところ視聴率は、同じ枠で2016年にオンエアされていた『おっさんずラブ』と同水準。『おっさんずラブ』のようにファンが付きSNSでバズれば映画化もありえると思います。素材としては一級品なので、よりネタドラマの方向に振り切れれば、さらにバズる可能性は多分に秘めていますよ」

 コロナ禍で意気消沈していたエンタメ業界だが、いま最も勢いのあるドラマが帰ってきたことで、また息を吹き返してくれるに違いない。

藤原三星

藤原三星

ドラマ評論家・コメンテーター・脚本家・コピーライターなど、エンタメ業界に潜伏すること15年。独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を中心に量産中。

Twitter:@samsungfujiwara

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