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東大大学院、オンライン入試導入の衝撃…総合的な力を試す、他大学でも広がる可能性

文=深笛義也/ライター
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東京大学(「Wikipedia」より/Kakidai)

 8月に実施される東京大学大学院の2021年度入試において、筆記試験と口述試験がオンラインで行われると発表された。新型コロナウイルスによる社会情勢を踏まえてのことで、受験生は自宅などで答えることになる。この新たな試みに関して、大学通信社常務取締役の安田賢治氏から聞いた。

「正解が準備されているような一般的な試験ではなくて、問いに対して自らが解答を考え出すような、記述式の試験になると思います。似たような考え方の試験としては、お茶の水女子大学のAO入試で、新フンボルト入試というをやっています。1次試験はプレゼミナールを受けてのレポート提出。2次試験は大学の附属図書館で行われるんですが、そこにある文献や資料をどれだけ見てもいい。知識の量を測るのではなく、それをいかに応用するかを問うわけです。

 東大大学院のオンライン入試も同じ考えで、ウェブなどでいくらでも調べていいということでしょう。1つのことばかり調べていたら時間切れになってしまうので、総合的な力が試されることになります。ただ、図書館ではなく自宅で受けるということになると、公正公平に行われるかという点で、一抹の不安は生じますね。お父さんが大学の先生だったりして、横にいてアドバイスするのも可能ですから。音声はオンになっているでしょうから喋るのはダメだとしても、紙に書いて渡したりできるかもしれません。目線を追うAIがあるので、そういうことでチェックするのでしょうか。過去には、京都大学の一般入試で、携帯電話を使ってYahoo!知恵袋で質問するっていうカンニングがありましたからね。心配していたらキリがないわけですけど」

 東大総長の五神真氏は改革派だといわれている。それゆえのオンライン入試の導入なのだろうか。

「五神総長が改革を進めていることは確かです。東大でも推薦入試を受け入れていますけど、100人募集でも70人くらいしか埋まってないんです。今までは、1高校から男女1人ずつまでという受け入れの制約があったんです。そうすると東大に最も多く生徒を送り出している開成高校は男子校だから、1人しか推薦できないことになります。来年からは1校あたり4人にして、男女はどちらか3人までいいとなります。そうなれば男子校でも女子校でも、3人まで推薦で応募できるようになります。

 五神総長は早稲田と提携したりして、改革を進めています。ただ、今回のオンライン入試については、新型コロナウイルスへの対応で踏み切ったんだと思います。実施されるのは8月ですけど、早稲田や明治、立教などで同じ頃に毎年行われるオープンキャンパスも中止が発表されていますから。

 ただこれを契機に、入試にオンラインが導入されてくることはありうるでしょう。面接なんかは、オンラインでやったほうがいいという声もあります。受験生は自宅にいて圧迫感がない分、素の姿が見られるという利点があります。実験動画をオンラインで送ってもらうとか、オンラインで大学の授業を受けてレポートを出させるという入試のやり方も、文科省が例として上げています」

 入試の世界でも、ペーパーレス化が進んでいくのかもしれない。

(文=深笛義也/ライター)

深笛義也/ライター

深笛義也/ライター

1959年東京生まれ。横浜市内で育つ。10代後半から20代後半まで、現地に居住するなどして、成田空港反対闘争を支援。30代からライターになる。ノンフィクションも多数執筆している。

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