NEW

地方銀行へ公的資金注入特例、経営責任問わず、返済無期限…究極のモラルハザード

文=編集部

 最終減益となった地銀は次の通り。関西みらい銀行とみなと銀行を傘下にもつ関西みらいフィナンシャルグループ(大阪市)は、前期の684億円の黒字から39億円へ94%減った。三重銀行と第三銀行が経営統合した三十三フィナンシャルグループ(三重県松阪市)が522億円から41億円、92%減となるなど、2ケタの減益となる地銀が多かった。

 与信費用の増加が業績を押し下げた。与信費用は融資先から資金を回収できなくなるリスクに備えるもの。貸倒引当金の積み増しや不良債権として処理する費用を指す。新型コロナの影響に伴う融資先の経営悪化を見越し、貸倒引当金を積み増した。

 与信費用の計上の仕方には濃淡がある。福岡銀行を中核とする、ふくおかフィナンシャルグループは与信費用として19年3月期の12倍の613億円を計上した。傘下の親和銀行(佐世保市)と十八銀行(長崎市)が20年10月に合併して十八親和銀行となることを踏まえ、与信費用を積み増したものだ。八十二銀行(長野市)、高知銀行(高知市)、福島銀行(福島市)の3行は新型コロナの影響を予測できないとして今期(21年3月期)の業績見通しの公表を見送った。

公的資金注入行は13行

 地銀のコロナによる最初の危機は20年9月中間決算で襲来する。預金を集めて、貸し出し利ザヤ(貸出金利と預金金利の差)を稼ぐのが地銀の本来の姿である。しかし、ゼロ金利の影響で19年3月末現在、5期以上連続で本業が赤字の地銀が27行あった。この時点で苦境に陥っていた地銀は全体の4分の1に達していたことになる。これにコロナ禍が追い討ちをかける。

 地力のある地銀は、20年3月期に巨額の与信費用を計上したが、与信費用を厚くすることを見送った地銀もある。とはいっても、20年9月中間期は、そうはいかない。旅館、小売り、飲食、運送、介護、娯楽など融資先の経営の悪化はコロナで深刻だ。融資の返済期限延長の救済措置をとれば、当然、貸倒引当金などの与信費用は膨らむ。最終赤字に転落し、債務超過に陥る銀行が出てくるだろう。

 公的資金の注入が見込まれる地銀はどこか。現在、公的資金の注入行を受けている銀行は13行ある。リーマン・ショックと東日本大震災後に公的資金を受け入れた。東北地方と南九州地方の地銀・第二地銀が多い。

 東北地方では青森県のみちのく銀行(地銀)、岩手県の東北銀行(地銀)、宮城県の仙台銀行(じもとホールディングス傘下の第二地銀)、山形県のきらやか銀行(じもとホールディングス傘下の第二地銀)、秋田県の北都銀行(フィデアホールディングス傘下の地銀)だ。

 関東地方は群馬県の東和銀行(第二地銀)、茨城県の筑波銀行(地銀)。中部・北陸地方は三重県の第三銀行(三十三フィナンシャルグループ傘下の第二地銀)と福井県の福邦銀行(第二地銀)。四国は高知県の高知銀行(第二地銀)。南九州地方は大分県の豊和銀行(第二地銀)、宮崎県の宮崎太陽銀行(第二地銀)、鹿児島県の南日本銀行(第二地銀)だ。

RANKING
  • 企業・業界
  • ビジネス
  • 総合