また、余暇の過ごし方も変わる。これまでは都会の商業施設に出かけていたのが、我が家の庭でバーベキューを楽しんだり、家庭菜園やDIYに打ち込んだり。職・住・遊が、まったく別の色合いを帯びてくるのだ。
さらに、地方には、子育て層が移住すれば家のリフォーム代を助成してくれる自治体もある。数千万円の住宅ローンを組んで、毎月それを返すために35年あくせく働く……というライフモデルは、ひょっとすると前時代のものになるかもしれない。
「これまでは職住近接というのが、経済的に合理性があると思われてきました。でも、ネットが普及すれば物理的に会社の近くに住む必要はなくなる。離れていても、そのぶん住宅コストや生活コストが安く済むなら、経済合理性はそちらのほうが高いとも言えます」(同)
来年発表される「住みたい街ランキング」は、いったいどう変わるだろうか。
災害時の避難所にも発生する“密”リスク
さらに、新型コロナはもうひとつの「密」リスクをあぶりだした。自然災害が起きたときの避難所問題だ。このところ有感地震が相次いでおり、首都直下型地震の発生も予断を許さない。
台風シーズンになれば大規模水害の恐れもあるが、ただでさえ混み合う東京23区の避難所がコロナ対策のために受け入れ人数を絞り込めば、行き場のない避難難民があちこちで発生するだろう。東京一極集中は、災害に対してももろいのだ。
つまり、生活拠点を都心から離れた場所に置き、できるだけリモートワークに切り替えて出勤日を減らすのは、防災面でもメリットが大きい。企業や業種によって事情は異なるだろうが、どうしても出勤が必要な人とリモートでも勤務が可能な人とがうまく分散すれば、「密」の割合が薄まっていくことは間違いない。
「人気のエリアは、1にも2にも便利だから。便利なところは人口密度も高いんです。それが大都市圏の特徴で、その利便性を高めるために商業施設ができ、劇場や映画館などのエンタメ施設ができ、さらに人が集まってくる。しかし、人を集中させてきたことが一番のリスクに変わったのが、このコロナ時代なのです」(同)
コロナ時代に家を買うなら重視すべき要素は何か、これまでの常識を捨てて考えてみるべきだろう。
(文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト)
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