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湯之上隆「電機・半導体業界こぼれ話」

一気に普及したオンラインセミナー、受講して見えた“致命的な欠陥”…私の改善案

文=湯之上隆/微細加工研究所所長

池上氏のセミナーの概要

 約6000人が参加したこのセミナーでは、まず池上氏が25分ほどの講演を行った。その内容は次の通りである。

 米国の経済学者フリードマンが新自由主義として「株式会社とは株主価値を最大化すること」だと主張したが、今回のコロナ騒動により、これは見直しを迫られることになった。どのような見直しかというと、企業の社員が健康でなければ、その企業は存続できないということである。そのように企業が進化(エボリューション)しなければ生き延びられない。

 ダーウィンは進化論の中で「環境の変化に適応したものだけが生き延びる」と述べたが、今まさに企業は、コロナによる環境の激変に適応することを求められている。そして、5年後、10年後を見据えて、新しいビジネスモデルをつくっていく企業が成長していくだろう、と論じた。

 池上氏の講演は、難しい専門用語を使わず、非常にわかりやすいと感じた。また、その内容にも共感できた。その上で、「コロナ禍において、企業の社員が健康であるために、どうするべきか?」を問うてみたいと思った。また、セミナー登録の際に書き込んだ質問は、この講演にジャストフィットするものだと思われた。しかし、ここでQ&Aの時間はなかった。

4人のパネラーのショートプレゼンとQ&A

 池上氏の講演の後は、4人のパネラーのショートプレゼンとQ&Aに移行した。その4人のパネラーを以下に紹介する。

1)株式会社Resorz 代表取締役 兒嶋裕貴氏

 Resorzは、「グローバル市場で成功する日本企業を10000社作る」という目標を掲げる民間最大級の海外ビジネス支援プラットフォーム「Digima~出島~」を立ち上げ、現在までに1万8000件以上の海外進出相談を受けた実績があるという。

2)税理士法人クオリティ・ワン 代表税理士 渡邊勝也氏

 渡邊氏は、2010年に税務調査専門の税理士事務所として独立開業し、月10~20件という圧倒的な税務調査実績を持つという。全社員の成果の可視化をリアルタイムで行うことと、社員の目的を明確にする教育によって、主体的に行動する経営者マインドを持った社員を育成し、経営を行っており、openworkにて総合スコアランキング(法律業界)約1800社中1位だそうである。

3)株式会社Clannote 代表取締役 和田智裕氏

 和田氏は、半導体専門商社、外資大手ITネットワーク機器ベンダー、日本法人立ち上げ期の外資ITソフトウェアベンチャー企業を経て、2009年に株式会社Clannoteを設立された。同社の主力事業は、海外企業の日本進出への支援・投資や取引先のブランド力向上・経営支援などである。

4)(株)セールスフォース・ドットコム 常務執行役員 宮﨑盛光氏

 宮崎氏は、日系リース会社、GE、金融系システムインテグレーターを経て、2008年にセールスフォース・ドットコム入社。毎年100社以上の企業と接点を持ち、企業が抱えている「顧客サービス・顧客体験向上」という課題に対し、企業の「お客様」目線に立ったサービス改革の支援を行っているという。2020年より、常務執行役員兼エンタープライズ首都圏営業本部長を務めている。

スマートで、美しい、成功物語

 すべてのパネラーがキラキラと輝く経歴の持ち主で、コロナ禍にあっても(あっているはずだが)、そのような影響はまったくなく、各社各組織とも成長を続けているようである。そして、4人に対するQ&Aにおいては、スマートで、美しい、成功物語が語られ続けていた。

 しかし、筆者は大きな違和感を持った。現在、日本中(いや世界中)の企業が、コロナ禍で悲鳴を上げている。多くの産業・企業で、突然、需要が消滅し、サプライチェーンが分断されてしまった。上場企業の多くが、今年度の業績見通しが立たないほど、危機的状況となっている。ところが、上記4人の話からは、そのような現実的な話は一切なく、したがって危機感もまったく感じられなかった。

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