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野村直之「AIなんか怖くない!」

世界一達成のスパコン「富嶽」、すでに人類的課題の解決に活用…AIとDXで社会を幸福に

文=野村直之/AI開発・研究者、メタデータ株式会社社長、東京大学大学院医学系研究科研究員
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 AIの歴史をたどってみると、その時代その時代の最先端の「怪しげな」情報関連の研究をAIと呼んでいたフシがあります。数理最適化や情報検索の技術など、のちに当たり前になった技術は初期の頃はAIと呼ばれていたりしました。大半は論文発表され、その知識がオープンに共有されていました。今日のAIも、斬新な技術開発であり、最先端知識やビッグデータに支えられていることから、オープンイノベーションの形で重要な役割を果たします。論文がWeb上に迅速に投稿される上に、AIの実態そのものであるソースコードや学習済のモデルさえもオープンに共有され、イノベーションを支えています。

 イノベーションが成功し、使われて、経済・社会に根付くには、それが使われるインフラが整備され、十分低コストで普及している必要があります。9年前の「京」でしか動かず、他のコンピュータとインターネットを介して連携できないプログラムでは、なかなか産業界で常時使われるようにはならないわけです。ネットを介して互いにいつでもデータを安全にやり取りし、加工し、ビジネスを100倍速(もっと大げさに「光速商取引(CALS=Commerce At Light Speed)」といわれたこともありました)にする。それに必要な企業内情報システム、組織体制の変革も含め、DX=デジタルトランスフォーメーションととらえる人が多いでしょう。

AIとDXによる幸福の増大を信じましょう

 B2Cのビジネスでは、AI搭載のスマホアプリに象徴されるように、個人のサービス利用の利便性を飛躍的に高めるためにAIが直接使われることがあります。一方、B2Bのビジネスでは、企業間のデータ、情報のやりとり、承認のプロセスなどのデジタル化のために、デジタルでつながるAPI (Application Programming Interfaced)を互いに公開しあうことが重要になります。そして、従来どうしても人間の判断、介入が必要だったところをAIで置き換えることができて初めて、100倍速が実現します。FAXを人が読んだり電話で聞き取ったりする作業などは、前世紀の遺物ですね。何割もの間違い、ミスが積み重なって、集計結果が10倍も狂ったりすることが現実に起きています。

 DXの結果、生産性が上がり、正確で個人に寄り添えるパーソナライズされたサービスが実現する。だから、冒頭、タイトルで「 AIとDXで社会を幸福に」と記しました。各論、たとえば金融業界のフィンテック(Fintech)など各業界の尖った技術X-techのことなど、7月2日発売の拙著『人工知能が変える仕事の未来 [新版]』をぜひご参照ください。文庫本なので税込み990円と、千円札でおつりが来ます(笑)。各産業ごとの詳細は、数年前の状況と予測にはなりますが、単行本のほうが役に立ちます。

 必ずしも全部のX-tech、DXの尖った要素がAIというわけではありませんが、AIがきめ細かく人間の判断や作業を代替したり、業務フロー自体を一新したりすることで社会の平均的幸福があがっていく。このイメージはぜひ皆さまと共有してまいりたいと思います。

(文=野村直之/AI開発・研究者、メタデータ株式会社社長、東京大学大学院医学系研究科研究員)

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