ビジネスジャーナル > ライフニュース > イブプロフェン、稀に重症の副作用  > 2ページ目
NEW
岡田正彦「歪められた現代医療のエビデンス:正しい健康法はこれだ!」

イブプロフェンで全身の皮膚にただれ…稀に重症の副作用、妊婦や心臓病の人は要注意

文=岡田正彦/新潟大学名誉教授

 タイの医師は、イブプロフェンはほかの鎮痛・解熱剤より副作用が強いので注意が必要だと述べており、一方、米国の当局は「めったにない副作用で、100万人当たり2~3人ほど」と説明しています。どちらの見解が正しいのでしょうか?

 米国では、政府機関が公開しているホームページ上に詳細な情報が掲載されていて、副作用としては心臓病、血栓症、胃潰瘍、胸やけなどが稀にある程度だとしています【注2】。

 日本国内で厚生労働省が行った調査でも、ロキソニンSに比べて、イブプロフェンの副作用の発現頻度は約半分で、服用した人のおよそ1.5パーセントに胃腸障害や眠気が認められるだけです【注3】。調査期間中に重症として報告されたのは1例だけで、症状も神経麻痺というものでした。

 激しい皮膚症状は、稀な副作用と考えてよさそうです。ただし、ワーファリンという薬を病院から処方してもらっている人、重い貧血、心臓病、膠原病、血液の病気がある人、妊娠中の女性は、医師に相談してから服用するのが絶対条件です。

 報じられたタイ人女性の場合、特異体質だったのか、あるいはタイ人にそのような体質の人が多いのか、詳細は不明です。またタイだけで発売されている市販薬もあるため、何か別の成分によるものだった可能性も否定できません。

(文=岡田正彦/新潟大学名誉教授)

参考文献

【1】「イブプロフェン」に関する薬一覧[市販薬](231件), QLIFE.

【2】https://www.nhs.uk/medicines/ibuprofen-for-adults/

【3】イブプロフェンのリスク区分について, 厚生労働省医薬食品局.

岡田正彦/新潟大学名誉教授

岡田正彦/新潟大学名誉教授

医学博士。現・水野介護老人保健施設長。1946年京都府に生まれる。1972年新潟大学医学部卒業、1990年より同大学医学部教授。1981年新潟日報文化賞、2001年臨床病理学研究振興基金「小酒井望賞」を受賞。専門は予防医療学、長寿科学。『人はなぜ太るのか-肥満を科学する』(岩波新書)など著書多数。


岡田正彦

イブプロフェンで全身の皮膚にただれ…稀に重症の副作用、妊婦や心臓病の人は要注意のページです。ビジネスジャーナルは、ライフ、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!