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浜田和幸「日本人のサバイバルのために」

富士山噴火、国が警戒レベル高める…東京は火山灰で覆われ視界ゼロ、交通も発電所も麻痺

文=浜田和幸/国際政治経済学者
富士山噴火、国が警戒レベル高める…東京は火山灰で覆われ視界ゼロ、交通も発電所も麻痺の画像1
「Getty Images」より

 朝鮮半島では南北関係が急速に悪化している。韓国で活動する脱北者団体が北朝鮮に向けて飛ばした金正恩体制を批判するビラや救援物資を吊るした風船に猛反発した北朝鮮は、開城にある南北共同連絡事務所を爆破するという強硬手段に打って出た。さらには、韓国との国境線における軍の配備や訓練の再開を始めるとも宣言。

 これは周辺国にとっては由々しい事態である。日本政府は「重大な関心を持って、情報収集、分析に努めている」と、菅官房長官が答弁するのが精一杯で、北朝鮮の暴発を防ぐ秘策などは期待できそうにない。しかし、南北朝鮮の軍事的緊張が高まる背後では、まったく別の危機が迫っている。

 何かといえば、中国、ロシア、北朝鮮の国境地帯における巨大な火山噴火の可能性である。それは黒龍江省に位置する「五大連池火山帯」を構成する尾(ウェイ)山の地下にある2つの巨大なマグマの活動が活発化していることだ。

 そこで中国の地球物理学の専門家チームが現地で100カ所以上の調査を繰り返すことになった。そして、地下8キロと15キロの2カ所でマグマの膨張が確認されたのである。高度なセンサーを使い、地下の深層部における地殻変動の異常現象をつぶさに研究した結果、「このまま地殻変動が続けば、巨大噴火につながる可能性が高い」との結論に至ったという。

 実は、地震学者や地球物理学者の間では、尾山の南に位置する朝鮮半島の最高峰、白頭山の噴火活動の可能性のほうに関心が集中していた。白頭山は946年と947年に大爆発を起こしており、「人類史上最大の噴火」として記録されている。半島南部は1メートルの火山灰で覆われ、日本にも大量の火山灰が飛来し、農業は壊滅的な被害を受けた。

 白頭山の噴火の予兆は近年、頻繁に確認されるようになっており、中国の主導の下、北朝鮮も韓国も、その監視には共同戦線を張ってきた。日本政府も気象衛星を飛ばし、空からその動きを追っている。ところが、今回の中国科学技術大学の調査チームの分析で、白頭山と尾山が地下で連動している可能性が判明したのである。

 これまで白頭山は小規模な噴火と大噴火を交互に繰り返してきた。最も直近の小規模噴火は1903年だった。そのため、北朝鮮も韓国も警戒態勢を強化していたわけだが、そこに新たに尾山の噴火の可能性が出てきたのである。中国や北朝鮮が繰り返してきた地下核実験の影響も否定できない。

 いずれにせよ、2つの火山は地下でつながっており、両方が同時に噴火することになれば、朝鮮半島はいうに及ばず、日本列島も数時間で大量の火山灰に覆われることは避けられないだろう。中国の研究者は「いつ大噴火が発生してもおかしくない。監視体制を強化し、避難準備も万全を期すべきだ」との警告を発している。

 韓国地球科学鉱物研究所では今後4年間にわたり、16億ウォンの調査費を投入し、火山活動の監視を続けると発表。北朝鮮との共同研究を行う予定である。韓国では人気俳優イ・ビョンホンとハ・ジョンウが夢の共演を果たしたことでも話題となった災害スパイ映画『白頭山』が2019年末に公開され、国民の関心も高まっているようだ。

富士山の噴火

 日本でも富士山の噴火について政府が去る3月、警告を発したばかりである。とはいえ、目前の新型コロナウイルスの脅威に目を奪われ、政府の警告はほとんど国民の関心を呼ばなかった。しかし、感染症とは次元は異なるものの、その被害や影響は無視できないはずだ。富士山が前回噴火したのは300年以上前のこと。そのため、長らく休火山、死火山の扱いを受けてきた。

 しかし、富士山は活火山として復活を遂げたのである。もし、富士山の噴火となれば、3時間で東京は火山灰で覆われ、都市機能はマヒする。鉄道も道路も使えなくなってしまう。視界はゼロとなり、火力発電所や工場の煙突も機能しなくなる。政府の専門家会議の予測では、富士山は一旦噴火すれば2週間は続くという。その間の生命維持対策が欠かせない。水や食料の備蓄は絶対条件である。

 日本には110の活火山があり、いつ噴火しても不思議ではない。実際、1977年以降、各地で火山の噴火が起き、多数の死傷者が出ている。政府もそのリスクを承知してはいるが、「先立つ資金がない」との理由で、噴火を予知するための監視対象になっているのは半分ほどである。

 どうしても地震の予知に人と金が配分され、火山の予知対策費は削られる一方となっているわけだ。そのため、必要な監視装置も十分には設置されていない。世界有数の「地震大国」であると同時に「火山列島・日本」であるにもかかわらずである。東北大学の谷口宏充名誉教授によれば、「白頭山が近い将来、東日本大震災に関連して噴火する可能性がある。その可能性は2032年までに99%」とのこと。

 さらにいえば、このところ世界各地でマグニチュード7を超える巨大な地震が相次いで発生している。過去100年の世界における巨大な地震の発生頻度を調べてみると意外な事実が判明する。それは1900年から2000年まではマグニチュード6を超える地震の数は年間10件を超えることはほとんどなかった。ところが2001年以降、今日に至るまで多い時には年間70件、平均すると30件以上もの巨大な地震が発生しているのである。

 近年、わが国では関西地方を巨大な台風と地震が襲い、北海道ではこれまた大きな地震が頻発している。阪神・淡路大震災や東日本大震災の記憶も忘れられないが、近づく関東大震災の可能性も否定できないだろう。

 世界各地で同様の危機が迫っている。メキシコでは1985年にマグニチュード8.0の地震が起き、3万人が死亡した。そのため、メキシコ政府は同じ悲劇を繰り返さないように、世界初の地震予知・警報システムを開発。そのかいあって、2017年に発生したマグニチュード8.1と7.1の巨大地震の際には、発生の危険を知らせる警報が作動し、多くの国民が安全な場所へ避難することができた。ほんの数分しか避難の時間はなかったようだが、その数分が生死を分けたといわれる。

 日本でも同様の警報システムが必要であることは論を俟たない。何しろ、火山噴火や地震が起きない日はないからだ。2017年末には、インドネシアのバリ島や南太平洋に位置するバヌアツでの火山噴火の恐れが高まったとの警告が相次いだ。その結果、バリ島では観光客が激減し、バヌアツでは住民の7割が緊急避難を余儀なくされる事態へ。実際、2017年の秋以降、バリ島ではマグニチュード6.1の地震も発生し、ついには火山噴火となった経緯がある。

 そして2018年9月、インドネシアのロンボク島やスラウェシ島ではマグニチュード7を超える巨大地震と火山の噴火が同時に発生。津波の高さも3メートルから10メートル近くとなり、多くの住民が飲み込まれた。死者は2000人を超えるが、いまだ行方不明者の数は把握されていない。インフラが破壊され、救助や支援活動も思うにまかせない有様が現出した。

 こうした自然災害は大きな経済的損失をもたらしている。なぜなら、世界的なリゾート地であるバリ島には年間500万人もの外国人観光客が押し寄せていた。しかし、2017年のこと、53年ぶりのアグン山(標高3142メートル)の大噴火でバリ島の玄関口である国際空港は閉鎖。1日当たり400便超が欠航した。当然、ホテルのキャンセルも相次ぎ、経済的損失は計り知れない。その後も火山活動は収まらないままだ。

巨大地震と地下核実験

 こうした異常ともいえる巨大地震や火山の噴火の頻発現象は、単なる自然現象とはいいがたいのではないか。なんらかの人工的な要因が隠されていると疑ってみる必要もありそうだ。目下の新型コロナウイルスについても、人工的な生物化学兵器ではないかと疑われているように。というのも、巨大地震が発生するたびに、日本政府は歴代の駐日アメリカ大使から「アメリカが開発した地震予知装置や後付けが簡単にできる耐震装置を買わないか」との申し出が繰り返し行われているからである。曰く「今後30年以内に東京でマグニチュード8程度の大地震が起こる確率は50%と見積もられている」。

 アメリカ政府の売り込み攻勢は凄まじい。カリフォルニア大学ロサンゼルス校の地球物理学者ボロック教授の率いる研究グループでは、数カ月先の地震を正確に予知できる技術を開発しているという。アメリカの対日売り込み攻勢は北朝鮮からの攻撃を想定した迎撃ミサイルシステムのPAC3やイージス・アショアだけではないことだけは確かである。

 これこそ「戦争も自然災害もまたとないビジネスチャンス」という発想だ。その点、思い出されるのが、アメリカのコーエン元国防長官が1997年4月の記者会見で行った「遠く離れた場所から電磁波を通して地震や火山の噴火を引き起こすことができる」という発言である。実はこうした自然災害を人工的に引き起こす“環境兵器”は国連でもアメリカ議会でも使用禁止が長年検討されてきた。しかし、今日に至るもそうした法案は成立していない。『プラネット・アース』の著者バーテル博士の説によれば、「現在世界各地で観測されている巨大地震のうち7割は地下核実験や人工的な要因が引き金となって引き起こされている」。

 日本人の常識では考えられないことであろう。しかし、国連総会ではこうした事態を重く受け止め、1976年以降、毎年のように環境改変兵器の開発、および使用を禁止する条約案が提出されてはいるものの、いまだ可決されるには至っていないのである。

 こうした提案が相次いでなされている背景には、現実に地震や津波を引き起こす兵器の開発が進んでいるとの懸念があるからだ。我々日本人は台風にせよ地震や火山噴火にせよ、自然災害と頭から信じ込んでいる節があるが、こうした国際政治や軍事技術のぶつかり合う現実から目を背けているわけにはいかない。そんな時代に我々は生きているのである。

「リング・オブ・ファイア」

 これまで見てきたように、地震や火山噴火が近年、太平洋沿岸諸国で頻発しているが、その集中度は9割に達する。「リング・オブ・ファイア」と呼ばれ、南北アメリカ大陸からアジア・オセアニアに至る太平洋側一帯では火山の噴火が止まらない。火山の数たるや数千の単位であり、現時点でもロシアのシベリア地方をはじめ450の火山が噴火を続けている。

 現在、東京工業大学と京都大学では人工知能(AI)を駆使した火山噴火を予測する研究を進めているが、自然界の動きを正確に見極めるには、まだ時間がかかりそうだ。残念ながら、自然界の怒りのような地殻変動を沈静化させる手立ては人知では計り知ることのできないものかもしれない。とはいえ、歴史から学ばなければ未来はないだろう。地震や火山の噴火は必ず繰り返し起きているわけで、その対策を怠るわけにはいかない。

 その点、アメリカのコロラド大学とモンタナ大学の地震専門家チームは2017年の10月に衝撃的な研究報告を公表した。彼らは過去30年の世界の地震のデータを分析し、地震の発生と地球の自転との関連性を明らかにしたのである。それによれば、地球の自転速度が緩やかになると、赤道一帯での収縮が起き、その影響で地下のプレートが圧縮され、巨大な地震を誘発するとのこと。

 アメリカ西海岸はまさに「リング・オブ・ファイア」の上に乗っているため、常に地震とは切っても切れない環境にある。カリフォルニアではこれまでも大きな地震が数多く記録されている。2012年には「シェイクアラート」と呼ばれる地震警報システムも開発され、各地に設置が進んでいた。ところが、トランプ政権になってから、こうした地震警報システムの設置に関する予算が減額され、工事もストップさせられてしまった。「トランプファースト」の大統領には、黒人の命も、自然災害のリスクも気にならないようだ。

 万が一、白頭山の噴火が北朝鮮の地下核施設を飲み込めば、朝鮮半島全体が放射能汚染に見舞われることになる。そうなれば、朝鮮半島も日本列島も絶体絶命だ。北朝鮮と韓国が風船爆弾合戦を始めているが、そんなことに貴重な時間を費やすことは許されない。アメリカのみならず、中国やロシアなど周辺国を結集し、「白頭山・尾山大噴火対策」を一刻も早く講じる必要がある。日本の取り組むべきは「コロナ対策」だけではない。

浜田和幸/国際政治経済学者

浜田和幸/国際政治経済学者

国際政治経済学者。前参議院議員、元総務大臣・外務大臣政務官。2020東京オリンピック招致委員。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士

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