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英検、受験会場で長蛇の列や混雑を訴えるツイートが氾濫…実際はほとんど混乱なし?

文=編集部
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「Getty Images」より

 6月28日、全国各地で実用英語技能検定(英検)の一次試験が実施されたが、その際に試験会場の周辺に長い行列ができ、試験開始時刻を過ぎても会場に入れないといった投稿が、ツイッターをはじめとしてインターネット上にあふれた。

 英検は当初、5月末に今年第1回目の試験が開催される予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて延期を余儀なくされていた。それが、緊急事態宣言が解除されたため、文部科学省などが出した感染防止のガイドラインなどに則り、6月28日に今年第1回目の試験を行うことになった。

 ところが当日、全国の試験会場から、写真付きで以下のようなツイートが多く投稿された。

「ひどい!英検会場の入場待ちの横浜。長蛇の列」

「新橋の英検会場、めっちゃ密になってる」

「日大に英検受けに来たけど、完全に三密状態」

「京都駅付近、長蛇の列が。何かと思えば英検会場に向かう列だって。白衣の人が色々チェックしてるけど、この列の人数をさばいて、開始って時間通りに始まるねんろか??」

「会場に着いてから1時間後にようやく着席できた」

 いまや英検は、さまざまな教育機関で採用されている。中学、高校、大学、大学院などで、取得級に応じて入試の合格判定で優先されたり、内申点に加算されるといった優遇措置を導入しているところもある。また、英語科目の単位として認定されることもある。さらに、海外の学校で、留学資格として利用できるケースも増えており、生徒・学生にとっては単なる英語の“腕試し”ではなく、自身の進路や将来をかけて挑んでいるといっても過言ではなくなっているのだ。そのため、快適な状況で受験できるか否かは、重要な問題となる。

「やっと取れた英検の会場がエライことに。試験開始時間はとっくに過ぎてるのに、受付できてない受験者が会場ビルをぐるりと1週している。雨が降ってただでさえモチベーション保つのが難しいのにコレは酷い。受験に使う大事な時期の試験なのに良いスコア出るのかなぁ」

 このような懸念の声があがっているのも無理からぬところだ。だが、なかにはコロナの感染リスクを懸念して受験を断念したというツイートもある。

「着席時間を20分すぎても会場は入れないどころか大雨の中道路に並んでて、いつまで並ぶかわからないし、密も怖いので英検受けるのやめて帰ることにしました」

日本英語検定協会に直接話を聞いた

 なぜ、このような行列や混雑を招くことになったのか。英検を展開する日本英語検定協会に話を聞いた。

「新型コロナ影響を受け、試験を延期していましたが、ようやく開催できました。それにあたり、いかに安全に試験を実施できるかを検討し、事前に対応策をウェブで周知してきました。厚生労働省や文部科学省の基準に準拠するかたちで、弊協会なりのガイドラインを定めました。

 受験者の安全確保を最優先に考え、感染源を絶つために来場前にヘルスチェックをお願いしたり、会場内はソーシャルディスタンスを保ち、マスクを着用したうえで会話は極力避けるように呼びかけ、換気にも留意しました。

(SNSなどで話題に上がっている)混雑については、おそらく会場に入る前のところだと思います。受験者は試験の前日と当日、スマートフォン上で英検サイトにアクセスし、そこにある質問に回答することで受験の可否が表示される仕組みになっています。そこで「問題ありません」と表示されていることを当日、会場で確認する作業をしていました。スマホを持っていない方や忘れた方には、その場で体温を測り、チェック表に記入していただいて健康状態の確認を行いました。そのように一人ひとりのヘルスチェックをしていたので、入る前に行列ができていました。また、ヘルスチェックのあとは受付で手指の消毒などを行い、各教室へ移動し、試験を受けていただきました」

 十分な感染対策を講じることで、入場までに多少の時間がかかってしまうことは、やむを得ないだろう。だが、受験生にとっては、試験前に多くの時間を浪費することは避けたいところではないだろうか。

「感染防止のために、今までにない手順が加わったので、時間がかかることは想定しており、集合時間を分散させる措置を取りました。また、集合時間から試験開始までは余裕のあるスケジュールを組んでいます。最初のほうに来場された受験生には、待ち時間が長くなりましたが、一部の会場で試験開始が10分ほど遅れたものの、混雑によって試験開始が大幅に遅れたり、試験が実施できなかったということはありません」

 ネット上には、受験生が過密状態になっているような写真が出回っているが、実際に混雑で現場が混乱するようなことにはなっていなかったということだろうか。

「普段、会場として使用させていただいている大学などが、コロナの影響で構内への立ち入りを禁止するなどで借りられず、街中の貸会議室などを会場としたケースがあります。その場合、ビルの上層階が試験教室で受付が1階となり、ご案内に時間がかかったり、エレベーター付近が混雑するということがありました」

 ネット上に投稿された写真を見ていると、かなり人が密集しているようだが、協会側としては、一時的・部分的に受験生が集中することがあったとしても、基本的には間隔を開けるように配慮し、私語は控えるように呼びかけるなど、ウイルス対策を講じていたと主張する。さらに、窓やドアを開放した状態を保ち換気を十分に行い、机などの消毒も行っているので、受験生には安心して試験を受けてほしいと呼びかけている。

 英検は、前述したように多くの教育機関や企業・官公庁などで採用され、受験者数も膨大だ。そのため、英検の取り組みや現場での対応は、さまざまな試験のモデルケースともなり得る。

 また、文部科学省は大学共通テストの英語に関して、英検を利用することを目指しており、今後も各界から多くの注目を浴びることになるだろう。新型コロナ対策は、過去に例のない取り組みとなるため、試行錯誤する部分があるのは仕方がないのかもしれない。だが、受験者の年齢層も幅が広く、影響力も多方面に及ぶ英検には、今回の試験でネット上を騒がせることになった原因を分析し、次回以降に改善されることを期待したい。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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