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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

中国、香港国家安全維持法で世界中を摘発対象に…「戦争の理由」を得た米国が制裁強化へ

文=渡邉哲也/経済評論家
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 つまり、外から見ればイギリス人であり、中から見ればイギリス人ではない存在ともいえる。しかし、パスポートを与えている以上はイギリス連邦の庇護下にあり、邦人保護の対象にもなる。当然、イギリスおよびイギリス連邦諸国が邦人保護のための派兵を行う正統な理由になるわけだ。そして、イギリスとの軍事同盟と特別な関係を理由に、アメリカが派兵する理由にもなり得る。

 中国による香港国家安全維持法で、香港は「立法」「司法」「行政」の三権すべてにおいて、独立的地位を失った。これは、中国による強引な国境の変更と言ってもいいだろう。そのため、今回の一連の動きは戦争の理由としては十分なものであり、実際に軍事行動を取るか取らないかは別にして、米中間の新冷戦が深化したことは間違いない。

 同法の施行を受けて、米連邦議会下院は中国政府当局者と取引のある銀行に制裁を科す法案を全会一致で可決した。すでに昨年11月には「香港人権・民主主義法」を成立させており、今後は香港への優遇措置見直しを段階的に進めていく予定だ。また、必要に応じて、さらに厳しい制裁も発動することになるだろう。

 米議会の強硬派は、ドナルド・トランプ政権に対して以下のような厳しい要求を突き付けている。「香港に与えた貿易上の『最恵国待遇』の取り消し」「中国の国際銀行間通信協会(SWIFT)システムの利用停止」「外国企業説明責任法の実施」「アメリカ金融市場からの排除」「中国政府が保証する債券の販売禁止」「中国の『グレート・ファイアウォール』の破壊」「アメリカやインターネットからの通信遮断」「香港弾圧者の名簿作成と制裁」。

 これらが実施されれば、アメリカは中国の完全なデカップリング(切り離し)に成功することになる。

(文=渡邉哲也/経済評論家)

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