アンジャッシュ渡部はどこで間違ったか?乱倫と『エンタの神様』過剰演出との点と線の画像1
2017年にソニーミュージックより発売されたアンジャッシュのコント集『ベストネタシリーズ アンジャッシュ』

 複数の女性と不倫関係にあったことを「週刊文春」(文藝春秋)に報じられた、お笑いコンビ、アンジャッシュ渡部建。無期限の芸能活動自粛となり、テレビとラジオ合わせて8本のレギュラーを失うこととなった。バラエティー番組関係者はこう話す。

「売れっ子だっただけに、業界への影響は少なくないですね。渡部さんはスタッフの意図を汲んで動いてくれるタレントさんなので、制作サイドとしてはとてもありがたい存在だったんですよ。必ずしもカリスマ性が高いわけではなかったものの、だからこそどんな番組にもフィットするタイプ。よくいえばユーティリティープレイヤーですが、“スタッフの言いなり”などと小バカにする関係者もいないではなかったですが」

 そんな渡部だが、元々はむしろトンガッた芸人だったという。すでに有名になってからは、“無類のグルメ好き”“あの佐々木希を射止めたタレント芸人”といったイメージで語られることの多い渡部の、お笑い芸人としてのキャリアをあらためて眺めてみよう。

アンジャッシュはあまりガヤには参加せず、とにかくネタで存在感を発揮するタイプ

「そもそも『アンジャッシュ』というコンビ名の由来は、喜怒哀楽を表す英単語の頭文字を並べた“JASH”に、否定を表す“UN”を付けて、“UNJASH=アンジャッシュ”ですからね。相方の児嶋(一哉)さんは人力舎の養成所・スクールJCAの1期生で、後輩からは恐れられた存在だったといいます。客にも媚びないスタイルのコンビでしたよ」(お笑い業界関係者)

 アンジャッシュの結成は1993年。当時は『ボキャブラ天国』(フジテレビ系)が人気を博しているころで、東京の若手芸人シーンもかなり盛り上がっていた。そんななか、アンジャッシュはクールなコント師として評価を上げていく。

「あまりガヤには参加せず、とにかくネタで存在感を発揮するタイプ。ボキャブラからは、爆笑問題、ネプチューン、くりぃむしちゅー(当時は「海砂利水魚」)などがブレイクしていきましたが、アンジャッシュはキャラクターが地味だったこともあり、世間的な知名度はまだまだでした」(前出・お笑い業界関係者)

 1999年から始まったNHK『爆笑オンエアバトル』(NHK総合)で何度もチャンピオン大会に進出するなど、主にネタで評価されていたアンジャッシュ。転機となったのは、2003年スタートの日本テレビ系『エンタの神様』への出演だった。

“スタイリッシュなコント”が売りだったアンジャッシュが、わかりやすい演出を受け入れた

『エンタの神様』では、芸人のネタに字幕を入れたり、キャラクター紹介のテロップを入れたりするなど、視聴者に向けてとにかくわかりやすくする演出が多かった。しかし、そういった形でネタに手を加えることは、こだわりが強い芸人からは、当然のごとく反発される。

 渡部は自身のYouTubeチャンネルで『エンタの神様』出演時について語っており、やはり当初はわかりやすくするための過剰なテロップなどを拒否していたと明かしている。しかし、『エンタの神様』のスタッフは、“毎分視聴率”という証拠をつきつけながら、説明を入れてわかりやすくすることで視聴者を離さないという事実を提示。いやいやながらもコントに説明を入れたところ、実際に毎分視聴率が上がり、アンジャッシュは番組の意向を受け入れざるを得なくなっていったという。そして最終的には、ネタの演出をエンタ側に任せることになったのだ。

 当時のアンジャッシュについて、エンタメ事情に詳しいフリーライターの大塚ナギサ氏はこう振り返る。

「いわゆる“スタイリッシュなコント”が持ち味だったアンジャッシュが、『エンタの神様』で設定やキャラクターの説明が入ったネタをやっているのを見て、本当に驚きました。アンジャッシュのあの“すれ違いコント”は、微妙な行き違いから生まれる違和感をじわじわ楽しむもの……という認識でしたからね。説明を入れると、じわじわ感もなくなるし、思わぬ方向へ話が展開したときの快感も薄れる。テロップを入れることで、確かに伝わりやすいものにはなっていましたが、アンジャッシュの持ち味は失われていったような気もします」

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