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また、エネルギー問題の視点からも、リニア建設には従前から疑問が提起されている。現在の東海道新幹線などに比べ、電力消費が数倍になるため、今後の社会が目指す方向性とは逆行する、という指摘だ。
リニア新幹線は、かつて英仏で共同開発されながら、燃費の悪さやメンテナンスコストの高さ、騒音など環境問題などで嫌われ、引退に追い込まれた超音速旅客機コンコルドにもたとえられる。
とはいえ、すでに他の工区で工事は始まっており、名古屋駅周辺はリニア建設を前提に再開発も進められている。国もJR東海も、今さらプロジェクトそのものの中止は考えないだろう。静岡県もリニア建設そのものに反対しているわけではない。
そうであれば、JRは自身のこれまでの対応を振り返り、反省するところから始めたほうがいいのではないか。信頼がないのにごり押しをしても、抵抗と恨みを生むだけだ。
静岡県といういち地方を犠牲にした「地方創生」などあり得ない。国も、事業の推進を急ぐより、まずは静岡の懸念に、誠意をもって向き合うべきだろう。
急がば回れ、というではないか。
(文=江川紹子/ジャーナリスト)
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