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江川紹子の「事件ウオッチ」第155回

「リニア開業延期」は静岡県が“ゴネた”せいか?地方が犠牲の「地方創生」はあり得ない

文=江川紹子/ジャーナリスト
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 また、エネルギー問題の視点からも、リニア建設には従前から疑問が提起されている。現在の東海道新幹線などに比べ、電力消費が数倍になるため、今後の社会が目指す方向性とは逆行する、という指摘だ。

 リニア新幹線は、かつて英仏で共同開発されながら、燃費の悪さやメンテナンスコストの高さ、騒音など環境問題などで嫌われ、引退に追い込まれた超音速旅客機コンコルドにもたとえられる。

 とはいえ、すでに他の工区で工事は始まっており、名古屋駅周辺はリニア建設を前提に再開発も進められている。国もJR東海も、今さらプロジェクトそのものの中止は考えないだろう。静岡県もリニア建設そのものに反対しているわけではない。

 そうであれば、JRは自身のこれまでの対応を振り返り、反省するところから始めたほうがいいのではないか。信頼がないのにごり押しをしても、抵抗と恨みを生むだけだ。

 静岡県といういち地方を犠牲にした「地方創生」などあり得ない。国も、事業の推進を急ぐより、まずは静岡の懸念に、誠意をもって向き合うべきだろう。

 急がば回れ、というではないか。

(文=江川紹子/ジャーナリスト)

江川紹子/ジャーナリスト

江川紹子/ジャーナリスト

東京都出身。神奈川新聞社会部記者を経て、フリーランスに。著書に『魂の虜囚 オウム事件はなぜ起きたか』『人を助ける仕事』『勇気ってなんだろう』ほか。『「歴史認識」とは何か - 対立の構図を超えて』(著者・大沼保昭)では聞き手を務めている。クラシック音楽への造詣も深い。


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